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阪神高速 ショートストーリー

最終話 50年・100年先の安全・安心のために
               -大規模更新・大規模修繕(2)

更新計画を作成して検討を開始

 阪神高速道路は、「阪神高速道路の長期維持管理及び更新に関する技術検討委員会」の提言を受けて、最新の損傷状況を改めて精査し、大規模更新もしくは大規模修繕を実施しなければ通行止め等に至る可能性が高い箇所について、更新計画を作成し検討を開始した。
 同計画では、大規模更新を要するのは延長約5km(7ヵ所・区間)、概算事業費は約1,500億円。大規模修繕を要するのは延長約57kmで、概算費用は約2,200億円。合計約3,700億円の事業費が見込まれている。

老朽化の進展に伴う重大な損傷箇所を更新

 更新計画では、「大規模更新、大規模修繕の実施箇所」について、①老朽化の進展に伴い、重大な損傷が顕在化している箇所、②繰り返し補修を実施しても、構造物の健全性を引き上げることができず、致命的な損傷に進展し、通行止め等が発生する恐れのある箇所、を抽出し、③全体的な取替え(更新)が効率的な箇所については「大規模更新」を実施し、それ以外の箇所について「大規模修繕」を実施するとしている。
 大規模更新の実施内容は、次のようなものである。①重大な損傷が生じている橋を、耐久性の高い構造の橋に架替える。②橋梁の基礎を腐食に強いコンクリート製に取替える。③旧基準で設計された鉄筋コンクリート床版を、より耐久性の高い材質の床版に取替える、など。
 その代表例が、11号池田線大豊橋付近である。万国博覧会に間に合わせるために、府道として整備された橋梁に、やむなく後打ちコンクリートで高さを調整して高速道路としており、そのために、嵩上げに使用したコンクリートの重さで床版や橋桁にひび割れが発生している。

大規模更新の事例
(11号池田線)

大規模修繕の事例
(鋼桁疲労き裂)
(鋼桁端部の腐食)

 大規模修繕は、「劣化要因による重大な損傷がさらに顕在化し、繰り返し補修を実施しても回復できない箇所」について、構造物全体の大規模な補修を実施するものである。
例としては、おもに橋梁の床版、桁、橋脚などの損傷が挙げられる。

社会的影響を視野に入れて実施時期を判断

 更新計画に必要な財源については、平成26(2014)年5月28日、改正道路関連法が参議院本会議で可決、成立。「高速道路の有料期間を15年延長し、平成77(2065)年9月末までとする」ことにより、延長期間の料金収入で大規模更新、修繕費用が確保されることとなった。
 重要な社会インフラの安全性を確保するための措置として、一般社会、お客さまからの理解が得られたものと考えているが、事業の実施にあたっては、国・地方公共団体等との連携はもちろん、なによりも、お客さま、沿道住民の方々のご理解を得ながら決定していくことが大切である。
 また、大規模更新等の実施期間は対象区間が通行止めになる場合もあり、工事による社会的な影響は大きい。したがって、現状のミッシングリンクも含めた道路ネットワーク全体の整備状況も考慮に入れつつ、実施時期を判断する必要があるだろう。

大規模更新・修繕の実施個所

(2014.10.20掲載)

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