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阪神高速 ショートストーリー

第26話 老朽化対策、長寿命化に向けた研究・開発

新技術の開発、維持補修の効率化で長寿命化へ

鋼型枠の腐食事例

 阪神高速道路が開通してから50年、現在、本格的な維持管理が必要な時代を迎えている。
 すでに、道路構造物に様々な損傷が発生し、それが耐久性の低下や維持管理コストの増大につながっている。損傷のおもな原因は、「腐食」「疲労」「劣化」であり、この問題に対する技術的な研究、維持補修、予防保全対策を積極的に進めている。
 技術面では、鋼橋の防食・疲労対策技術(塗装塗替え技術の高度化、鋼床版亀裂の効率的な検出方法や対策等)、コンクリート構造物の長寿命化技術(アルカリシリカ反応(ASR)対策、塩害・中性化対策等)、新素材の開発などに努めており、維持補修面では、構造物の日常の点検作業が効率的に行えるような方法の検討や改良を実施し、予防保全の観点からは、効率的・戦略的な維持修繕計画のためのH‐BMS(阪神高速道路橋梁マネジメントシステム)を活用して維持管理の効率化を図っている。

設計時から耐久性の向上を考慮

コンクリート製板の試作品(くの字型)

 構造物の新規建設時の設計から、耐久性を考慮した例である。
 橋梁の分・合流部では車両衝突時にコンクリート破片が飛散することを防止するため、従来は、高欄外側に鋼製型枠を設けることとなっている。しかし、鋼製では腐食が懸念されることから、本事例では、鋼製型枠の代わりにコンクリート製板を採用したものである。
 このコンクリート製板には、ビニロン繊維が混入されており、車両衝突時の飛散防止に効果を発揮するほか、高強度であるため耐久性も高い。

日本初、軽量・高耐久な道路橋床版を開発

超高強度繊維補強コンクリートを用いた道路橋のイメージ

 都市部の高速道路では、軽量な鋼床版が使用されることが多いが、既設橋では様々な要因による金属疲労亀裂が顕在化している。
 阪神高速道路(株)と鹿島建設(株)は共同で、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を使用した道路橋床版を日本で初めて開発した。従来の鋼床版に比較して同等の軽さながら、より高い疲労耐久性を有している。平成23(2011)年より共同研究を行い、このほど軽量かつ耐久性の高いUFC床版の実橋への採用が可能となったものである。
 UFCは、通常のコンクリートの約5倍という高い圧縮強度を持ち、さらに鋼繊維の補強効果から高い引張強度が得られることにより、鉄筋が不要となり、部材厚を薄くできるため軽量化が可能となった。

UFC床版 見上げ

 今回開発のUFC床版は、鋼床版箱桁のデッキプレートおよび縦リブをUFC床版に置き換えるもので、リブの配置をワッフル型としてさらに軽量化を図っている。

ワッフル型のUFC床版

(2014.9.19掲載)

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