-阪神高速、湾岸線でも損傷は発生しているのですか?
- 山本
- 5号湾岸線は、平成6年の全線供用以降、約23年が経過しています。他の路線と比べると比較的新しい路線ではありますが、内陸部の路線よりも大型車のご利用が多い路線となっています。湾岸線は海上部のため延長の長い橋梁が多く、車の走行を支える道路床面に鋼製の材料を使用していますが、走行する大型車による繰り返し荷重等により、古い基準で造られた薄い鋼製の道路床面(鋼床版)に疲労によるき裂などの損傷が発生しています。
▲ 鋼床版での疲労き裂の状況 ▶
日常の維持管理により損傷の補修を行っていますので、走行の安全性に問題はありませんが、橋梁を長期にわたり健全な状態に維持していくためには、道路床面を補強していく必要があります。
-そのような状況の中、どのような工事を行いましたか?
- 山本
- 通常、車がスムーズに走行できるように鋼製の道路床面(鋼床版)の上にアスファルト舗装を設置していますが、鋼床版を補強できるほど強い材料ではありません。そこで、アスファルト舗装の下半分を強度の高い鋼繊維補強コンクリート(以下、SFRC)舗装に置き換えることで、鋼床版の疲労に対する耐久性を高める工事を実施しました。車の安全な走行を確保する重要な構造体である鋼床版の損傷を抑えることで、橋梁のさらなる長寿命化を図ることとなります。
①アスファルト舗装の撤去状況
②SFRC舗装の施工状況
③SFRC舗装の施工完了
-今回の工事を実施するにあたっての交通規制は?
- 山本
- お客さまに極力影響を与えないよう今回の工事では通常の通行止めではなく車線規制による工事を行うこととしました。約6kmにわたる交通規制であったため、規制状況の確認、工事車両の規制への入退場など細心の注意を払いながらの作業となりました。
-工事で工夫した
点はありますか?
- 山本
- 湾岸線の3車線のうち2車線を規制して工事を行う期間については、阪神高速道路及び周辺道路の混雑が予想されたことから「う回乗り継ぎルート」を設定しました。工事区間を通過するルートとう回するルートの所要時間をご確認の上、お客さまが工事区間に進入する手前で経路選択していただけるように臨時で大阪地区と神戸地区各1箇所にLED可変表示板を設置して、所要時間比較を掲出しました。
▲ お客様への経路選択情報の提供
また工事専用のWebサイトに加え、新たな広報媒体としてSNSを活用したTwitterによる即時発信も行い、出来る限りの情報提供にも努めました。
-初めての大規模規制による
リニューアル工事を実施しての感想をお願いします。
- 山本
- 工事期間中は、天候不良による工事の遅れに加え、台風21号の接近による通行止めが生じたことに伴い、やむを得ず、2車線規制の工事期間を2日間延長しました。工事期間中を通してお客さまや沿道の皆様に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。また、同期間中、う回などにご協力いただくとともに工事へのご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございました。引き続きリニューアル工事を実施することで、安全・安心・快適な道路の実現を目指していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
※本文に記載の内容はインタビュー当日のものです。