1号環状線は供用から50年以上が経過し、
老朽化という課題に直面しています。
そこで、2020年秋に終日通行止めにて実施された
「1号環状線リニューアル工事 2020南行」に
ついて担当者へインタビューしました。
栗田康弘(課長代理)
岩里泰幸(主任)
1号環状線で大規模な通行止め工事に踏み切った理由は?
1号環状線は、前回の2001年と2002年に実施した大規模補修工事から約20年が経過し、舗装や伸縮継手等に損傷が発生しているほか、開通から50年以上経過していることもあり、老朽化によるRC床版のひび割れ等の構造物自体の損傷が進行していました。
舗装やジョイントの補修工事は他の補修工事と比べ騒音が発生するため、都市部での夜間施工は困難です。
また、年々増え続ける様々な損傷への対応や、構造物本体の取り替えといった大規模な更新を伴う工事を車線規制工事のみで実施するには非常に長い工事期間が必要になり、車線規制を伴う渋滞によるお客さまへの影響は多大なものとなります。
そのため、阪神高速道路ではお客さまや沿線の皆さまへの影響を少なくすることを目的に、必要な工事を短期間で集中して効率的に行う工事手法として通行止めを基本とした大規模補修工事を道路公団時代から計画的に実施してきており、今回の1号環状線リニューアル工事においても同様に終日通行止めを採用することとしました。
また、通行止め区間の選定にあたっては、通行止めにおける交通影響のシミュレーション結果を踏まえ、1号環状線全線を一度に通行止めにしてしまうことはせずに、前回の大規模補修工事と同様に、2020年度と2021年度の2ヵ年により北行と南行に分けて実施する計画とし、2020年度は11月に17日間の終日通行止め工事を行いました。
終日通行止めのお知らせビジュアル
そのような状況の中、どのような工事を行いましたか?
まずステップ1として、1号環状線南行き(梅田⇒夕陽丘)と12号守口線一部区間で10日間の終日通行止めを行い、12号守口線のコンクリート床版の取り替え工事に着手したほか、長寿命化に向けた高性能床版防水や舗装の全面的な打ち換えを行いました。
新しい舗装には「排水性舗装」を採用しており、路面の平坦性がよみがえるとともに、雨の日でも見やすくなるので走行性がアップしました。
また、経年劣化により走行の快適性の低下が確認された橋梁のつなぎ目である伸縮継手(ジョイント)については、取り替えを行ったり、可能な限り床版を連結してジョイントレス化を行ったりしました。
そのほか、1号環状線は出入口やジャンクションの分合流が短区間に連続することから、車両の接触事故や誤分岐と思われる車両が多発していたため、「区画線改良」や「案内標識の改善」、「出口車線の青カラー舗装」によって、わかりやすさと安全性の向上に取り組みました。
次にステップ2では、通行止め区間を12号守口線の南森町・扇町付近に縮小した上で、さらに終日通行止めを7日間継続し、阪神高速道路本線では初めてとなるコンクリート床版の取替工事を完成させました。
工事期間中は天候にも恵まれたので、結果として当初予定よりも8時間前倒しにて通行止めを開放することができました。
通行止め期間中のお客さまへの対応は?
1号環状線の通行止めに伴い、各路線で激しい渋滞が予想されました。そのため、阪神高速ではインターネットやスマホでご覧いただける特設サイトを立ち上げ、利用可能な出入口や渋滞予測図、う回予測図、う回乗継ナビなどをご案内させていただきました。
特に「う回ルート検索システム」は、渋滞を避けた運行計画の参考にしていただくことを目的として、出発地・到着地ならびに時刻を入力すると、渋滞予測を踏まえたルートや所要時間のほか、前後の時間帯や電車利用との所要時間も比較できるようにしていました。
(「う回ルート検索システム」は、工事完了とともに閉鎖いたしました。)
1号環状線で約20年ぶりとなる大規模な工事を終えての感想をお願いします。
工事期間中は、渋滞も発生し、多くのお客さまや周辺のみなさまにご迷惑をおかけしました。おかげさまで快適に走行していただける道路が完成しました。
工事にあたっては品質管理を徹底し、たとえば伸縮継手(ジョイント)の設置においても、段差が少しでもなくなるよう1mm 単位で管理しました。
工事期間中は天候にも恵まれ、通行止め区間の開放は当初の予定よりも少し前倒しすることもできました。
2021年度は、同じく1号環状線で〈北行〉のリニューアル工事を予定しています。
ご不便、ご迷惑をおかけしますが、安全・安心・快適な阪神高速を未来につなげるため、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
(※本文に記載の内容はインタビュー当時のものです。)