vol.11 2016秋号「人の幸、里の幸、京都の秋をいただきます!」
人の幸、里の幸、京都の秋をいただきます!
京都の"おいしい"がつまった
じねんと食堂・じねんと市場
阪神高速8号京都線の城南宮北・南の出口近く伏見区竹田の「じねんと食堂」と「じねんと市場」は、知る人ぞ知る京都のグルメスポットです。
毎朝、近隣の農家さんが運び込む新鮮な旬の野菜を直売する市場と、その食材を使って野菜中心の和洋多彩な料理が食べられる食堂。
食通の京都人が、教えたくないけど自慢したいという"じねんと"の魅力に迫ります。
二十四節気ごとにかわる旬の野菜料理を満喫
じねんと食堂は、隣接するじねんと市場に搬入される収穫したての野菜を使った料理をビュッフェスタイルで楽しむことのできるレストランです。
じねんと食堂がコンセプトとしているのは、大昔、1年を24に等分して季節の節目を表していた二十四節気に合わせ、2週間毎にメニューを変えて折々の旬の野菜をお客さまに味わっていただくこと。
シェフの森泰之さんは、時にはじねんと市場の店頭に並ぶ野菜を手に取り、メニューのアイデアを考えます。
おいしいけれどやさしい京料理の神髄を知る
森シェフいわく、「どこよりも新鮮な野菜を使えることが、私たちのいちばんの強み。ボイルしてもほとんどアクが出ないほど新しい食材をどんな調理法でお客さまにお出しするかが腕の見せどころです。」
じねんと食堂の料理はどれをとっても心のこもったやさしい滋味が感じられます。低カロリーで塩分を控えながらも食材の持ち味を活かし、しっかりおいしく、満足のゆく品々。これぞ、まさに京料理の伝統です。
旬の野菜を使った色とりどりの総菜。野菜料理のバリエーションの多さに、初めてのお客さんはびっくり。季節ごとに訪れるリピーターも多いそうです。
野菜本来の味わいはもとより、自然な色合いを大切にした料理。
じねんと食堂シェフ
森泰之さん
"じねんとの日"にお客さまに配布しているカード。24枚集めると特典もあって、女性客には大好評です。
多彩な野菜が集まる京都市内最大級の直売所
じねんと市場は京都市内でも最大級の広さと品揃えを誇る直売所です。最初は簡易なテントからスタートした直売所も3年前にモダンな建物になり、今では平日は地元の人たち、休日には遠く大阪からの買い物客で賑わう活気あふれる市場になりました。 スタッフが地域を廻り、説明会を開いて募った契約農家さんも現在は約250軒に増えました。新しい品種の栽培に意欲的な若い農家さんも多く、京野菜だけでなく、色とりどりの季節の野菜が集まる元気な市場になりました。
野菜たちが美しく並ぶ売り場。明るい店内からは愛情こめて作られた野菜をていねいに売ろうとする姿勢が伝わります。
代表的な京野菜の九条ねぎ。シャキッとしていかにも新鮮そう。
野菜から加工食品まで揃う食のセレクトショップ
じねんと市場の売りは新鮮な野菜の直売だけではありません。おいしいものを知り尽くしたスタッフが東奔西走して集めた京都特産の加工品もおすすめです。
調味料やドレッシング、ご当地レトルトカレー、お味噌、お茶、そして大人気のスイーツまで。こだわりの品揃えはデパ地下や高級スーパーをしのぐほどです。市中であれこれ探すよりも、ここに来ればひと味ちがう京都みやげが見つかり、観光客にも人気です。
手作り農産品も多彩。ジャムやドレッシング、お茶など、京都各地の農産加工品も充実し、おみやげにもぴったり。
京丹後市 宇野さんの紅はるか入りのロールケーキ800円。素材を活かしたもっちりとした食感で、甘すぎず、自然な味わいが広がるスイーツです。じねんと食堂オリジナルの体にやさしいお菓子として大人気です。
じねんと市場を支える地元の農家さん
じねんと市場は、地元の農家さんが栽培した野菜や果物に、農家さん自身が価格を付けて販売しています。久御山町で野菜のハウス栽培をする川﨑継太さんも契約農家の1軒です。
川﨑さんが代表を務める「川宇」は、明治時代から4代つづく古い農家。かつてこのあたりがまだ巨椋池だった頃、初代が漁のかたわらに農業を始めました。
現在のハウスは約30年前に川﨑さんのお父さんが、1年を通して野菜栽培ができるように建てたもので、当時としては先駆的な試みでした。
空心菜、サンチュなど約10種類を栽培
川﨑さんのハウスでは、空心菜とサンチュを中心に、京の伝統野菜のうぐいす菜、みず菜をはじめ、約10種類の野菜を作っています。朝に収穫した野菜を箱詰めして午後にはじねんと市場や近隣の直売所に配達します。
じねんと市場では、搬入の際にお客さまと接する機会もあり、野菜を買ってくれる姿を目にしたり、おいしい食べ方を伝えたりすることは、野菜づくりの大きな励みになっていると話してくれました。じねんとは農家さんにとっても嬉しい出会いの場です。
水耕栽培のハウスに立つ川﨑さん。近年は栽培技術が向上し、水やりや肥料散布も自動化され、かつてのような苦労は減ったと話す川﨑さん。それでも真夏には50度を超すというハウスの中での作業はたいへんです。
川﨑さんイチ押しの空心菜。じねんと市場では農家さんに話を聞いたり、資料を調べておいしい食べ方や栄養素、保存方法などをわかりやすいポップにしています。
景色もごちそう!
里山の恵みを満喫
観光客で賑わう洛中をはなれ、郊外に車を走らせると京都市内とは思えないのどかな風景が広がります。
ここでは、地元の人たちのもてなしの気持ちがこもった素朴なごちそうが待つ、越畑と大原の里を紹介します。
地域ぐるみで営む十割そばの名店
京都市中心部から車で約1時間。愛宕山の北、地蔵山の麓に位置する右京区嵯峨越畑。800枚以上の棚田が広がり、「日本の里100選」にも選ばれた美しい里山に、近畿各地からそば好きが通う「フレンドパークまつばら」があります。
フレンドパークまつばらは、地域の活性化をめざし、地元農家でつくる農事組合法人が平成12年(2000)5月にオープンしました。地元のメンバーが約1年にわたって有名そば処のご主人の指導を受け、粉ひきからそば打ち、ゆで方までを習得。越畑のそば粉と山の湧き水を使い、ここでしか食べることのできない香り高い十割そばを作り上げました。オープン前は、こんな山里にお客さんが来てくれるだろうかと皆が心配していたそうですが、口コミで人気が広がり、土日は行列ができるほどの繁盛ぶり。現在も、地元農家の人たちが日替わりでそば打ちや接客にあたっています。大きな窓越しに越畑の自然を眺めながらいただく十割そばは最高です。
こだわりの十割そば。国内産のそば粉と越畑のそば粉を合わせてひいた人気の十割そば。天ぷらも越畑でとれた野菜や山菜を使っています。
農事組合代表理事 大西恒治さん(左)
農事組合理事 木村貞志さん(右)
窓から見えるのどかな里山の景色もそばにひと味添える素敵な薬味。
大人気スイーツのそばプリン370円。そば粉を入れることによってねばりやもっちり感が生まれ、ふつうのプリンよりも食べごたえがあります。その分、甘さも控えめで男性にも楽しめる一品です。
杵つき臼どりもちが食べられる里の駅
秋の紅葉名所として知られる三千院にも近い大原野村町にある「里の駅 大原」。
野菜直売の「旬菜市場」、杵つきもちを販売する「もちの館」、地元のお母さんの手料理が味わえる「花むらさき」が里の駅の3つの柱です。もともとは地域の農業を盛り上げようと始めた週に一度の朝市が好評だったことをきっかけに、平成20年(2008)5月に常設の直売所として里の駅がオープンしました。
朝市の時から人気だった手作りもちに着目し、もちの工房を設け、有名な大原産の紫蘇や春に摘んだよもぎを使ったおもちを販売。土日祝には、もちつきの実演があり、〝杵つき臼どりもち〟を買うことができます。また、食事処の花むらさきでは、大原で採れた新鮮な季節の野菜を使った大原膳や地鶏の親子どんぶりが食べられます。また、毎週日曜日には朝6時から「大原ふれあい朝市」を開催し、採れたての野菜を販売。遠方から訪れる多くの買い物客で賑わいます。
もちの館のみなさん。もち作りを担当しているのは大原や八瀬など、地元の女性が中心です。旬菜市場で販売する紫蘇もちやとちもちは買い物客に大人気で早々に売り切れることもあります。
もち作り風景。もちの館では朝早くからもち作りが行われます。
杵つき臼どりもち。土日祝にはつきたてのもちをきな粉もち、おろしもち、砂糖醤油もちの3種類の味でいただけます。
こだわりの親子どんぶり。大原百井産の地鶏卵、地鶏肉を使った当地ならではの一品です。
ふれあい朝市。旬菜市場には大原の農家で栽培されたさまざまな野菜が並びます。遠方から買いに来る買い物客や京都市街の飲食店の料理人も新鮮な大原産の野菜を求めてやってきます。
今号で紹介した施設の近くには見事な紅葉が見られるスポットが点在しています。ひと足のばして赤く染まった京都の秋を楽しみましょう。
「じねんと」にほど近い東福寺は京都屈指の紅葉名所。さらに東山エリアに北上すると清水寺、永観堂、南禅寺と東山の紅葉スポットがつづきます。また、大原は緑の山々と周辺に点在する寺院の紅葉とのコントラストが見もの。越畑では美しい棚田とともに赤く染まる里山の秋景色を満喫することができます。
〒612-8426 京都市伏見区竹田青池町130 ☎075-642-0141 ○営業時間/11:00〜15:00(L.O.14:00) ○定休日/不定休 ○料金/平日:一般1,600円・65歳以上1,500円、土日:一般1,800円・65歳以上1,600円、(平日・土日とも)小学4〜6年生980円・小学3年生以下680円・0〜2歳0円※すべて税抜 ○お食事時間/ランチ90分、ディナー120分※平日ビュッフェはランチ営業のみ、平日ディナーは完全予約制(10名以上) ○駐車場/あり(無料)
7 435 404*54
〒612-8426 京都市伏見区竹田青池町125 ☎075-646-0831 ○営業時間/10:00〜18:00 ○定休日/年末年始、不定休 ○駐車場/あり(無料)
7 435 374*12
〒616-8483 京都市右京区嵯峨越畑鍋浦町109-1 ☎0771-44-2700 ○営業時間/11:00〜16:00(12月〜3月は15:00まで) ○定休日/火曜(祝日は営業、翌週の月曜または水曜に振替) ○駐車場/あり(無料)
344 028 311*33
〒601-1247 京都市左京区大原野村町1012 ☎075-744-4321 ○営業時間/旬菜市場9:00~17:00、花むらさき9:00~16:00(日曜7:30~16:00)、大原ふれあい朝市(日曜6:00~9:00)、杵つき臼どり餅販売(土曜10:30・14:00、日祝10:30・11:30・14:00※雨天中止。時間は予告なしに変更になる場合があります)○定休日/月曜(祝日の場合は火曜) ○駐車場/あり(無料)
479 114 274*88
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