工事概要
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1号環状線の現状
高速道路の高齢化
阪神高速道路は1964年(昭和39年)に1号環状線の土佐堀~湊町間2.3kmが開通して以降、関西の暮らしと経済の発展を支える大動脈として道路ネットワークを整備してきました。2020年(令和2年)4月時点の供用路線の総延長は258.1kmとなりましたが、一方で、初期の開通区間である1号環状線などの74.1kmの区間(総延長の約3割)は供用から50年以上が経過し、高速道路の高齢化が進んでいます。
経年劣化による損傷が進む1号環状線
阪神高速1号環状線は、大阪市内中心部に位置し、環状線から放射線状に伸びた各路線を連絡する役割を担っており、大阪都市圏の道路ネットワークにおける最重要路線です。
1日のご利用は約25万台(2019年度平日平均)にも上ることに加え、供用から50年以上経過していることから、道路橋の床面であるコンクリート床版などで、構造物の損傷が進展しつつあります。また、2001年、2002年に実施した前回の大規模補修工事から20年近くが経過し、現在では舗装や伸縮継手などの経年劣化による損傷が顕在化し、走行の快適性を低下させる一因にもなっています。
今後、さらに損傷が進展すると、道路の陥没など大規模な損傷につながることも懸念されるなど、1号環状線は、構造物の長寿命化に必要な抜本的な対策を実施することが求められている状況です。
1号環状線をリニューアルする工事
抜本的な対策が必要な損傷
コンクリート床版では、車両の大型化や大型車の走行により繰り返し受ける負荷の影響が蓄積することで、ひび割れが発生している場合があります。さらに、その状態で雨水などが浸透することによってさらにひび割れが進行し、コンクリート床版の強度を低下させるとともに、床版陥没など道路にとって致命的な損傷につながる恐れもあります。
これまで、そのような損傷に対し、コンクリート床版の補修工事等により進展を食い止めてきましたが、近年では抜本的な対策が必要な損傷の進展も確認されるようになってきました。2018年には、15号堺線の玉出入口において約4か月間の入口通行止めを実施し、コンクリート床版の取替工事を実施しています。
通行止め期間を大幅に短縮する床版取替工事
これまでの調査により、水平方向のひび割れやコンクリートの砂利化といった抜本的な対策を必要とする深刻なコンクリート床版の損傷を、1号環状線(南行)の通行止め区間に含まれる12号守口線の南森町・扇町付近において局所的に確認しています。『1号環状線リニューアル工事2020南行』では、15号堺線の玉出入口での実績も踏まえた最新の技術・工法の採用やできる限りの事前工事等を行うことで通行止め期間の大幅な短縮を図り、施工上の制約が多い都心部の高速道路本線において初めてとなる床版取替工事を、17日間の通行止めによって完了させる予定です。
コンクリート床版の全面的な長寿命化対策
また、床版取替のような対策が必要な状態にまでは至っていない箇所に対しても、コンクリート床版の耐久性を向上させるために、2層の防水層を組み合わせた高性能床版防水をコンクリート床版面に施工することを計画しています。
高性能床版防水は、浸透性の高い1次防水層で床版に生じたひび割れを閉塞し、2次防水層との複合防水により床版への雨水の浸入を抑制することで、既存のコンクリート床版の長寿命化を図るものです。なお、高性能床版防水は、既設舗装を撤去した後の床版面が露出した状態において施工し、その後新たな舗装を設置しています。
走行の快適性・安全性・わかりやすさを向上させる工事
走行の快適性・安全性の向上
今回のリニューアル工事では、前回の大規模補修工事から20年近くが経過し、現在では舗装や伸縮継手などの経年劣化による損傷が顕在化し、車線規制を伴う応急処置を頻発させています。また、これらの損傷や応急補修跡が、走行の快適性の低下や振動による沿道環境を悪化させる一因にもなっていました。
そこで、環状線の通行止め区間において舗装の全面的な打ち換え補修や劣化した伸縮継手の取替等を行うことで、走行の快適性を向上させるとともに、沿道環境の改善も図ります。なお、舗装材料には、透水効果があり雨天時でも視認性の良い排水性舗装やカーブ区間等にはすべりにくい舗装(密粒ギャップ舗装)を施工することにより、走行時の安全性を向上させます
また、損傷した伸縮継手を撤去する際には、低振動・低騒音の撤去工法を積極的に活用し、沿道にお住まいの皆さまへのご迷惑を最小限とするよう取り組んでまいります。
分合流付近の整流化やわかりやすい道路案内への改善
1号環状線では、出入口やジャンクションの分合流が短区間に連続するため、分合流間での錯綜に伴う接触事故や、誤って出口を退出する誤分岐が多発しています。そこで、信濃橋渡り線や6号大和川線が供用したことにより、一部の合流部では流入する交通量のバランスが変わってきたことも踏まえ、整流化を目的とした分合流付近の区画線改良や補助看板の設置、方面案内のわかりやすさを重視した案内標識レイアウトへの改善や、出口であることが直感的に理解できるようなカラー舗装を施すことで、走行時の安全性やわかりやすさの向上を図ります。なお、案内標識は、ヘッドライトでも明るく反射するため夜間の視認性が大きく向上する超高輝度反射材を用いたものに更新します。
このような分合流付近の整流化や道路案内の改善は、大規模な通行止め工事の機会に連続性をもって、かつ広範囲に展開することが、より効果を高めることにつながることから、今回のリニューアル工事では、環状線(南行)に対して全面的に実施することで、環状線(南行)における走行時の安全性やわかりやすさを大きく向上させていきます。