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阪神高速 ショートストーリー

第15話 623日間の闘い - 復旧と併せて最新の環境対策を施工 -

復旧工事中の最高裁判決

 平成7(1995)年7月7日、国道43号訴訟の最高裁判決が下り、国及び阪神高速道路公団は沿道の一層の環境対策を講じることが求められた。
阪神高速神戸線は、阪神地域の復興に不可欠なものとして早期復旧が強く要請されていることから、当公団では耐震性能の向上を図ったうえで復旧し、その際、ソフト・ハード両面の対策を総合的に実施することとした。

沿道環境への新たな対策

新たに設置された遮音壁

 神戸線復旧に際しては、環境面でも新しい対策を取り入れた。
 新型遮音壁は、従来型の吸音壁の上部に「きのこ型」形状の新しい吸音装置を設置するもので、この装置は高さ50㎝ながら、遮音壁を1.5m~2.0mかさ上げするのと同等の効果を持つ。復旧区間のほぼ全区間に施工した。高遮音壁は、道路構造の強化に合わせて実施が可能となったもので、国道43号沿道の高層住宅に対するため、路面から約7mとした。山側に設置された遮音壁には、透明板を多用することで、近接家屋の日照等に配慮しており、またドライバーから街並みや六甲の山並みが見えるようにしている。
 高架裏面吸音板は、高架下で発生した騒音が高架橋の裏面に反射して沿道に影響を与えるのを防ぐもので、神戸線高架橋の裏面に設置し、国道43号の遮音壁と相まって効果を発揮するようにした。なお、高架裏面吸音板の設置に併せて、景観への配慮として、高欄外壁への化粧版も施工した。

高機能舗装を全区間で施工

舗装工事のようす

 復旧と同時に、我が国で初めて、神戸線の全区間で高機能舗装が本格的に採用された。この舗装は、タイヤと路面の接触に起因する交通騒音が低減されると同時に、降雨時の滑り摩擦抵抗が大きいなど走行安全性の確保にも寄与するものである。

全線開通した3号神戸線

 こうした環境対策の必要性は、早期復旧という至上の命題の下で新たな課題となった。しかし、沿道住民の方々の温かい協力や、早期復旧に寄せられている期待感を考えたとき、復旧後に再度交通規制をして環境対策を施工することは考えられず、一括同時施工を決定したのだった。
 神戸線の震災復旧工事は、当初厳しく設定した平成8(1996)年12月末の予定をさらに短縮して、同年9月30日をもって完了することができた。地元関係機関、沿道住民の方々、工事に従事されたすべての方々の復旧にかける熱い思いが結実したものと考えている。

(2014.7.4掲載)

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