第三者意見

本レポートについて、「阪神高速事業アドバイザリー会議」座長であり、交通インフラ分野の第一人者の正司氏に第三者意見を執筆していただきました。「阪神高速事業アドバイザリー会議」とは、専門知識を有する外部有識者で構成される第三者委員会です。
日頃から当社グループの経営改善や事業全般について、常に公正な立場で助言をいただいています。

変わる経営、変わらぬ原理

神戸大学 名誉教授 正司 健一
神戸大学 名誉教授
正司 健一

改めて2019年、2020年、2021年と3年分のCSRレポートをまとめて読んでみて、今さらのように感心したのは、CSR経営の推進を通じて地域や社会の持続的発展に貢献し、阪神高速グループ理念である「先進の道路サービスへ」の実現に向けて歩み続けている、その変わらぬ姿勢です。

企業(事業体)は継続し続けることが肝心なことから、継続事業体(Going Concern:企業の継続性とも訳される)と呼ばれることもあります。企業を取り巻く環境は常に変化するので、それに応じて企業も変わっていくことが必要になります。しかし、企業理念といった行動原理は、変わらず継続すべきものです。以前、経営戦略論の研究者から「変わる経営、変わらぬ原理」がとても大切だと聞いたことがあります。うまくいかなかった企業では、これを逆にした「変わらぬ経営、ころころ変わる原理」がよく見られるそうです。確かに、市場をを取り巻く状況が変わっているのに、これまで行ってきた経営に固執し、継続の危機に直面した企業は少なくありません。阪神高速がそのグループ理念をいかに大切なものと捉え、CSR経営を推進することでその実現を目指し、関西の持続的な発展に貢献しようとしているかが、CSRレポートから一貫して、明白なメッセージとして読み取れたことは良かったと思います。

ところで、変えられるものであっても、それを実際に変えるにはかなりの勇気が必要です。逆に変えないことを堅持するにも度量が必要ですし、そもそも、何を変え、何を変えないかの峻別も実際には容易でありません。これらをいかにうまく成し遂げ続けていけるか、組織としての力が問われることになります。過去の成功体験に基づくビジネスモデルや商品が、いつまでもうまく機能する訳ではありません。万能薬は存在せず、適切に変革を行っていくことが常に必要になってきます。この点、トップ対談における吉田社長からの、「徹底したお客さま目線で、常により高みを目指してこれからも挑戦を続ける」との発言はとても心強い言葉です。吉田社長をはじめとした経営陣のリーダーシップに、大いに期待いたします。

本レポートは、冒頭のトップ対談に始まり、阪神高速道路の歴史やその経営ビジョン、戦略、中期計画の進捗状況の紹介、都市高速道路の高質化に関する3つの特集、さらにグループ理念実現に向けての2030年のビジョンを示す6つのありたい姿各々に関わる取り組みの紹介といった、豊富な内容から構成されています。読み応えのあるレポートですが、読みやすくするための工夫も随所に見られます。今後は、多様なステークホルダーとのコミュニケーションツールとしての本レポートが、阪神高速からの情報提供だけではなく、各種のフィードバックももらえる双方向のツールへ、さらに育っていけばと思っています。

ご意見を受けて

常務執行役員 上松 英司
常務執行役員
上松 英司

正司先生には、本レポートの発行にあたり、阪神高速グループの経営姿勢や取り組みについて、貴重なご意見と高い評価のお言葉をいただき、誠にありがとうございます。

会社設立から15年が経過しましたが、設立時に掲げた理念「先進の道路サービスへ」は、当社グループの目的、到達すべき姿を表し、グループ社員のよりどころとして定着しています。

今、世の中では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、働き方やくらし方が大きく変わりつつあります。このような時こそ原点に立ち返ることが重要と考え、2021年度のグループスローガンに「先進の道路サービスへ-ともに踏み出そう 新たな一歩を-」を掲げました。自らの使命を根源的に掘り返し、「先進」とは?「道路サービス」とは?を追求し、さらには「へ」に込められた想い「日に新た」のもと、徹底したお客さま目線に立ち、新しい時代・社会から求められる価値を提供してまいります。失敗を恐れず、新しい時代に向かって、グループ一体となって新たな一歩を踏み出していきたいと思っています。

また、今般、本レポートに加え、多様なステークホルダーの皆さまとの新たなコミュニケーションツールとして、持続可能な社会の実現に向けた当社グループの取り組みを簡潔に紹介したリーフレット「サステナビリティブック」を制作しました。ご指摘いただいたように、双方向コミュニケーションは重要な課題です。より多くの方々が本レポートなどをご覧になり、多くのご意見をいただけるよう、内容やアンケートなどの改善・充実に努め、ステークホルダーの皆さまの声を生かした経営を推進してまいります。