大阪湾岸道路西伸部は、神戸市東灘区にある現在供用中の阪神高速道路湾岸線六甲アイランド北出入路からポートアイランド、和田岬、須磨海岸等を経由して同市垂水区の阪神高速道路湾岸線名谷JCTに接続する延長約 21kmの自動車専用道路である。このうち、六甲アイランド北から神戸市長田区の駒栄に至る約14.5kmは、平成28年度に事業化し、平成29年度より直轄事業と有料道路事業との合併施行方式を導入し事業の推進を図っている。
当該区間は、陸上部、海上部ともほぼ橋梁構造であり、そのうち、神戸港の航路を跨ぐ区間では、主径間長約600mなどの長大橋梁3橋を計画している。これらに要する事業費は、「大阪湾岸道路(西伸部)橋梁技術検討委員会(平成15年度~平成17年度)」等での審議を踏まえ、約5,000億円と想定している。
当該区間の設計・施工にあたっては、高度な技術力と豊富な専門知識が必要とされ、平成17年度委員会提言に示された更なるコスト縮減の観点や、橋梁の長寿命化に資する有効な手法を検討するとともに、阪神・淡路大震災の被災地からの教訓も踏まえた災害に強いインフラ整備、「みなと神戸」にふさわしい世界に誇れる景観を創造するインフラ整備が求められており、これらを最適化させることが重要である。
また、国内では数少ない大規模橋梁事業であることから、本州四国連絡橋をはじめとする長大橋梁のこれまでの技術の蓄積や知見も踏まえつつ、平成29年7月に改定された道路橋示方書において新たな設計手法が示され、新技術活用の選択肢が広がったことから、技術開発や新たな発想による高度な技術的検討が必要となる。そのためには、多角的な視点から慎重に検討していく必要があり、複数の分野の学識者を含む専門家のご助言や議論を得ながらこれらの課題を解決していく必要がある。
以上を鑑み、高度な技術力と豊富な専門知識が必要となる設計・施工や技術開発、新たな発想による高度な技術的検討を行うにあたり、これらの技術的課題に対する助言を受けることを目的に、学識経験者等からなる「大阪湾岸道路西伸部技術検討委員会」を設立するものである。