重要テーマ5 関西の発展に貢献し、地域・社会から愛され信頼される阪神高速を目指して環境経営の推進

地球規模の課題である気候変動問題の解決に向け、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。阪神高速グループにおいても、持続可能な脱炭素社会の実現を目指し当社グループの特性を生かしたさまざまな取り組みを進めることにより、地球環境の保全に努めてまいります。

関連するSDGsの目標
  • 3:すべての人に健康と福祉を
  • 6:安全な水とトイレを世界中に
  • 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 8:働きがいも経済成長も
  • 9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11:住み続けられるまちづくりを
  • 12:つくる責任 つかう責任
  • 13:気候変動に具体的な対策を
  • 17:パートナーシップで目標を達成しよう

環境ポリシー[基本理念]

環境経営の推進に関する基本的な考え方である「環境ポリシー」を定め、4つの重点分野において、阪神高速道路事業の特性を生かしたさまざまな施策の実施により、地球環境の保全に積極的に取り組んでいます。

❶脱炭素社会への挑戦
❷循環型社会の形成
❸より良い都市環境の創造と共生
❹環境啓発及び社会貢献等

脱炭素社会への挑戦

脱炭素社会への実現に向け、高速道路ネットワークの整備による交通円滑化や事業活動におけるCO2排出量削減などに取り組んでいます。

阪神高速道路のネットワーク整備によるCO2抑制効果

自動車は時速60kmから80kmで走行すると燃費が良く、CO2の排出量も少なくなります。高速道路は一般道よりも効率良く走行できるため、CO2排出量の抑制につながります。阪神高速道路のネットワークそのものがCO2抑制に貢献しています。

阪神高速道路を走行する自動車からのCO2排出量は推計約85.7万t/年。
これらの自動車が一般道を走行したとすると約108.5万t/年。
阪神高速道路の利用により約22.8万t、21%以上のCO2が抑制されたことになります。
※出典:林野庁HP

事業活動に伴うCO2排出の要因

2021年度の事業活動に起因するCO2排出量は3.8万tでした。その内訳は、道路照明や換気設備など道路事業に関わる電力が約85.9%、オフィス電力が約9.6%、社用車の燃料などが約4.5%となっており、電力使用によるものが大半を占めています。

事業活動における省エネルギー化

高速道路や管理施設において、エネルギー削減に取り組んでいます。

取り組み例

  • LED道路照明の設置
    CO2排出量の主な要因である電力量の削減に向け、LED道路照明への切り替えを進めています。LED照明は消費電力が削減できるとともに、長寿命のためメンテナンス回数が少なくなります。2021年度は約55%をLED化しました。
    LED道路照明
  • 太陽光発電の実施
    トンネルやパーキングエリア、料金所など4箇所で太陽光発電を実施しています。発電した電力は、トンネルやパーキングエリアなどで使用する電力の一部に利用しています。
  • 超高輝度反射標識板の使用
    ヘッドライトの光で標識が明るく反射することから、夜間の視認性を確保するための照明設備が不要となり、メンテナンスの回数も少なくなります。
    超高輝度反射標識板
  • オフィスなどの省エネルギー化
    不要照明の消灯やLED照明の導入などに取り組んでいます。

電気自動車用急速充電器の設置

環境面に優れた電気自動車が安心して阪神高速道路を走行いただけるよう、すべての有人パーキングエリア(6箇所)に急速充電器を設置しています。

電気自動車用急速充電器

環境に配慮したパーキングエリア整備

2022年4月、泉大津大型専用パーキングエリアをオープンしました。
阪神高速では初となる木造のパーキングエリアであり、内部は木レンガによるぬくもりと天井のトップライトから降りそそぐ自然光により「ほっ」とできる空間となっています。また、建物周囲の緑化により環境に配慮するとともに、内装材の大部分に大阪府内産の木材を活用することにより適切な森林経営を促しています。

泉大津大型専用パーキングエリア

循環型社会の形成

事業活動において、環境負荷の少ない資材の調達や廃棄物の3R(発生抑制、再使用、再資源化)などに取り組んでいます。

マテリアルフロー 当社単体 2021年度

当社事業で使用するエネルギー・物資の入手から、リサイクル・処分までの流れを示しています。

グリーン調達の推進

グリーン購入法に沿った調達方針を定め、グリーン調達率100%の目標達成に向け取り組んでいます。2021年度は高速道路の建設・維持修繕工事において、70品目を対象に調達を行いました。また、事務用品などのグリーン調達率は99.5%となりました。

横断幕再生プロジェクト

横断幕再生バッグ

阪神高速道路で使用した横断幕をリサイクルする「横断幕再生プロジェクト Re:loop阪神高速」を実施しています。「横断幕」とは、道路上に掲示し工事や通行止めなどの情報をお知らせするものです。カラフルで雨風に強い素材の特性を生かし、バッグやテント幕などに再利用しています。
また、使用済み横断幕を企業・団体に無償で提供し、有効活用していただく取り組みも実施しています。

より良い都市環境の創造と共生

騒音の低減や環境ロードプライシングなどによる大気質の改善に取り組んでいます。
また、地域との連携や社会への貢献のため、景観など周辺環境との調和に配慮しています。

沿道環境の改善

遮音壁の設置

遮音壁の例

走行する自動車からの騒音を低減するため、吸音効果の高い遮音壁などを設置しています。

環境施設帯の整備

環境施設帯の例

沿道のまとまった土地を植樹帯とする環境施設帯を整備して、騒音の軽減、大気質の改善、緑化による潤い創出などに取り組んでいます。

高機能舗装の敷設

道路交通の騒音は、タイヤと舗装の間で空気が圧縮・膨張することが一因です。こうした騒音を低減するため、多くの空隙(すきま)を有する「高機能舗装」の敷設を進めています。「高機能舗装」は排水性に優れているため、降雨時は雨水が速やかに舗装へ浸透し、タイヤの滑りや水はねを防止して路面標示が見やすくなるなど、走行安全性も向上します。

高機能舗装の仕組み

トンネル区間の排気処理

長大トンネルでは、トンネル内の排気ガスを含んだ空気が坑口から漏れ出すことを抑え、空高く排気するために換気所を設置しています。また、この換気所には排気ガスに含まれる浮遊粒子状物質(SPM)を除去する除塵装置も設置しています。

(注)トンネルにおける換気設備の一般的な働きをわかりやすく図解したものです。
各トンネルによって、実際の機器などの配置は異なります。

「環境ロードプライシング割引」の実施

国道43号・阪神高速3号神戸線沿線の環境改善のため、5号湾岸線の利用を促すべく、大型車の料金を割り引く「環境ロードプライシング割引」を2001年11月から実施しています。
以降、割引率や対象車種の拡大などにも取り組み、徐々に国道43号から5号湾岸線にシフトする大型車が増加しています。

センサス大型車道路別利用状況・分担率

周辺環境との調和

港大橋・東神戸大橋(湾岸線)のライトアップ

港大橋

大阪湾ベイエリアのにぎわいの創出と活性化に貢献するため、湾岸線の港大橋と東神戸大橋でライトアップを実施しています。

景観に配慮した道路構造物の整備

大阪湾岸道路西伸部 模型 新港・灘浜航路部

大阪湾岸道路西伸部では、『「みなと神戸」にふさわしい世界に誇れる景観を創出する道路』をコンセプトにデザインの検討を行い、整備を進めます。