阪神高速道路のシミュレーションモデルに関する検討は、歴史が古く、当初は入路の閉鎖など渋滞対策のためのより良い交通制御手法を探るツールとして、まだコンピュータ自体が普及していない昭和49年前後から検討が始まりました。これらのツールを交通管制に活用させようという実際の試みは、平成元年からであり、今回紹介するモデルはその2代目にあたります。
阪神高速道路のリアルタイム交通流シミュレーションモデル「HEROINE」は、平成11年から検討をスタートさせたモデルであり、リアルタイムに収集される交通管制データを入力データとして取り入れ、道路ネットワーク上の交通状態を予測及び評価し、(1)事故・落下物に対する対応や日々の渋滞に対する入路閉鎖など、交通管制業務の支援、(2)新たな道路を整備した場合の評価、(3)補修工事における交通影響検討や予測情報提供など、多くの目的のために構築されたモデルです。
ネットワークシミュレーションを交通管制システムに組み込んだ、世界的に見ても先進的なシミュレーションモデルとなっています。
具体的にどのような状況で活躍しているかといいますと、
(例)
など、阪神高速道路の管理・運営に本シミュレーションモデルを役立てています。
モデルの分類 | メソシミュレーションモデル |
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対象道路網 | 阪神高速道路全線、競合補完する一般道路 |
入力データ | 車種別時間帯別ランプ間OD表 車両検知器データ |
フロー機能 | 高速道路上はブロック密度法による。経路選択は内生化。 |
需要予測手法 | ニューラル・ネットワークモデル |
行動選択機能 | 入口選択モデル、乗り継ぎ選択モデル |
交通制御機能 | 入路閉鎖ブース制限方式、LP制御モデル、動的LP制御モデル |
主に交通管制業務の支援のためのものであり、車両検知器からのリアルタイムデータを元に、渋滞状況等を予測するものです。
現在時点から規制や制御はそのまま継続すると仮定した短期(90分後まで:流入する車両が流出するまでの間)の交通状況を予測して渋滞状況や所要時間および入路制御提案などを提供します。
将来(24時間後まで)の交通状況を予測して、渋滞状況や所要時間予測情報を提供します。
任意の日時(平均的な日、特定の日時)、交通規制や入路制御施策などに伴う交通状況を予測して各種指標を提供します。
将来道路ネットワークにおける交通状況予測や新たな交通制御手法や料金施策などに対する交通状況予測を行っています。