床版取替の急速化・高耐久化を可能とするプレキャストPC床版継手構造として、
阪神高速道路(株)は、清水建設(株)・ユニタイト(株)・住友電工(株)・昭和コンクリート工業(株)と共同で、ハイ・スマート・プレストレス・ジョイント※ (HSPJ) を開発しました。
※「HSプレストレスジョイント」で商標登録済(登録番号:6053570号)
HSプレストレスジョイント(HSPJ)
技術開発の背景
従来技術
PCa床版の橋軸方向の接合構造は「ループ継手」が一般的。
課題
- ループ継手の形状(最小曲げ半径)により床版厚が決定。
床版厚は、大規模修繕事業の取替対象の床版より大きい
- ループ継手内への鉄筋組立、間詰めコンクリートの打込み・ 養生の現場作業が残り、施工性の改善が必要。
床版取替時に必要となる通行止め期間の長期化
- 場所打ちRC構造部における長期的な耐久性が懸念。
従来の橋軸方向の接合構造(ループ継手)
HSPJ の特徴
- PCa 床版をオスボルトと楔形式のメスボルトでワンタッチ接合し、急速施工が可能。
- オスボルト(F10T)を緊張し、接合部にプレストレスを導入 することにより止水性を確保及び疲労耐久性が向上。
- オスボルトをプレグラウト樹脂で被覆し施工誤差を吸収 及びグラウト作業が不要。
- PCa床版を高強度(70N/mm2 )・薄肉構造(t=180mm) とし、軽量化を実現。
HSPJの構造概要図
HSPJ 床版の概要
HSPJの対象接合部
HSPJは橋軸方向の接合に使用
HSPJを用いたPCa床版概要図
実験結果
静的曲げ試験
試験状況
荷重-変位関係
HSPJ床版の接合部は、
- 設計荷重時における変位は小さく、ひび割れは発生しない。
- 終局荷重は設計荷重の4倍以上であり、接合部を有しない一般的なPC床版と同等以上の安全性を確認。
繰返し動輪荷重試験
動輪荷重による繰返し疲労試験
動輪荷重走行試験結果
下面ひび割れ状況(PC床版)
下面ひび割れ状況(HSPJ床版)
HSPJ床版の接合部は、
- 接合部周辺のひび割れ発生は少ない。
- 接合部を有しない一般的なPC床版と同等の疲労耐久性を確認。