施設 | 電気 |
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国内初の試み!時間や環境の変化に合わせて
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トンネル照明には、トンネル内を走行する運転者が安全かつ快適に走行するため、自動車走行に支障となる障害物を視認できるよう、トンネル全長にわたり一定間隔に配置された基本照明や、昼間時に、トンネルの入口付近にある障害物を明るい野外に順応した運転者が安全に視認できるようにするための入口照明などがあります。
基本照明は、「昼間」「夜間」「深夜」の時間帯による調光制御に加え、初期の保守率分の余剰な明るさを調光制御する「初期照度補正制御」、トンネル内の周囲温度に合わせて適正な明るさに保つ「周囲温度補正制御」が連続調光により行われています。さらに、建設当時としては国内初の試みとして、トンネル内に設置されている煤煙透過率計と連動し、煤煙透過率(トンネル内における光の見えやすさの指標)が高いときには、最大50%まで連続的に調光制御する「煤煙透過率制御」を採用し、消費電力量の削減を図りました。
この試みが、国内初であり今後のトンネル照明の発展につながると考えられることと、安全確保と省エネによるコスト縮減を達成していることから、照明学会から「照明普及賞・優秀施設賞」を受賞しました。
●初期照度補正制御 | ・・・ | 初期の保守率分の余剰な明るさを調光制御します |
●周囲温度補正制御 | ・・・ | トンネル内周囲温度に合わせて適正な明るさを保ちます |
●煤煙透過率制御 | ・・・ | トンネル内に設置されている煤煙透過率計と連動させ、煤煙透過率が高い場合に最大50%まで調光制御します |
平成20年6月に開通した阪神高速8号京都線稲荷山トンネルでは、入口照明に高圧ナトリウムランプ器具、基本照明に光束センサー内蔵のHf蛍光灯型器具を採用しています。
稲荷山トンネルで採用した光束センサーとは、初期特性や周囲温度特性における余分な明るさを抑制して省エネにつなげるもので、照明器具毎に設置しており、器具単位で必要な明るさを維持することができます。
また、基本照明に配光特性が大幅に向上する枠無照明器具を採用することにより、照明器具の設置間隔が大きくなり、トンネル全体の照明器具台数を削減することができました。
稲荷山トンネルでは、トンネル表示灯に従来の蛍光灯よりも長寿命であるLEDを採用することで、省電力化と長寿命によりメンテナンス費が削減されました。
※阪神高速8号京都線は平成31年4月1日(月)からNEXCO西日本と京都市に移管されました。
1) 神戸長田トンネル照明設備の解析的検討(阪神高速道路公団、技報第22号、2005年) 2) 阪神高速31号線神戸山手線のトンネル照明制御(電設技術、2004年10月号) 3) 阪神高速京都線の電気通信設備(建設電気技術、技術集、2008) |