環境 |
|
関西初の試み!循環型社会に大きく貢献する
|
トンネル工事の施工方法のひとつにシールド工法というのがあります。長いビニールパイプの先に回転式の切羽がついていて、それで削った土をパイプから出しながら、パイプを土の中に押し込んでいくのをイメージしてみてください。比較的土質が柔らかいところで使われる工法です。
この切羽で土を削るとき、土を柔らかくする方法に幾つかありますが、京都線では泥水が使われました。今回の大和川線の工法は、泥土圧式シールドといい、発砲剤等で土を柔らかくします。
このように、シールド工事で出てくる土は、単なる掘削土に泥水や発砲剤が混ざっただけの土なのに、産業廃棄物法では、建設汚泥という名が与えられ、産業廃棄物として、これまで最終処分場にお金を払って処分していました。
しかし、最終処分地が逼迫し、各方面でリサイクルが進んでくる中で、建設汚泥もリサイクル率を高めよとの声が高まりました。今回の「大和川線シールド発生土再生活用事業」は、そうした要請に「個別指定制度」を活用する方法でモデルケースを創出しようという試みです。
大和川線シールド工事では、出てくる土の約15%を道路の路床資材として活用することで、まず建設汚泥の発生を抑制します。その上で、残り85%を再利用します。再利用は、大阪市住之江区で大阪市が行っている第6貯木場土地造成事業の埋立てに使うことを提案しています。
近年、原木輸入が激減し、製材加工された半製品の輸入が増えていますので、水面貯木場が遊休化し、陸上貯木場が不足するようになっていました。その状況を受けて、第6貯木場土地造成事業は始められたのですが、1期工事が終わった時点で、造成費の増と地価変動等で、事業が凍結されていました。
今般、私たちの提案を受けて、事業の再再評価が行われ、事業の凍結が解除される見通しが立ってきました。正式に凍結解除されれば、大和川線シールド工事で発生した土の85%の第6貯木場付近の再生事業地に運び、資源の有効活用のため、砂礫の一部を分級するとともに、残りを中性固化して埋立材に改質し、第6貯木場を埋め立てていく事業を正式に開始します。現在はその準備を進めています。
私たち阪神高速技術(株)は、こうした限定された産業廃棄物の処理をその発生から運搬、中間処理、再利用まで一貫して処理監督していく事業を担います。この事業により、大和川線の工事費も第6貯木場土地造成事業の工事費も大きなコストカットが図られます。また、関西で初めての試みとなる個別指定による建設汚泥のリサイクルであり、成功すれば循環型社会の推進に大きく貢献することとなります。
今後、発生利用者間調整の仕組み作りや改質土壌の標準化の進展などたくさんの課題はありますが、まずは今回の事業を成功させることから、新しい環境ビジネスにつなげていけたら、と考えています。
出典:阪神ハイウェイ174号
※阪神高速8号京都線は平成31年4月1日(月)からNEXCO西日本と京都市に移管されました。