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環境・社会
イメージ ヘドロを埋め立て土として利用!?掘削土の"地産地消"的リサイクル
環境

ヘドロを埋め立て土として利用!?
掘削土の"地産地消"的リサイクル建設場所:淀川左岸線

キーワード
リサイクル、環境、建築リサイクル、廃棄物

ヘドロを埋め立て土として利用

建設副産物については、建設リサイクル法の制定により、わが社では「建設副産物対策要領」(平成15年)を策定し、発生の抑制、再利用及び減量化適正処理に取り組んできました。特に再利用については建設副産物のリサイクル原則化を徹底し、最終処理分量の削減を図っています。建設副産物のリサイクルというと、コンクリートの瓦礫を壊し、砕石にして利用するという方法がイメージされますが、現在工事中の淀川左岸線ではわが社独自のユニークな取り組みが行われています。

それが正蓮寺川工区における正蓮寺川総合整備事業で、ここの工事では川を陸地化し、地下にトンネルを造るのですが、川に堆積しているヘドロを現地で固化し、埋め立ての土として利用しています。

ヘドロは浚渫して処分されたりしますが、正蓮寺川工区では、現地にプラントを建て、浚渫した液状のヘドロに凝集剤を入れてなるべく大きな粒にまとめ、超高圧フィルタープレスで水を絞り、現地の埋め立ての土として使えるようになるまで改良して使用しています。真っ黒のインクのようなヘドロは強い臭気もありますが、このような処理により、土として遜色のないものが出来上がります。左岸側のヘドロの大部分がこの工法で活用されています。

図:正蓮寺川工区における脱水・個化処理フロー

図:正蓮寺川工区における脱水・個化処理フロー

左岸側より以前に施工した右岸側では、ヘドロにセメントを注入して攪拌し、その場で固めるという方法が行われました。水分の多いヘドロなので、かなりのセメント量が必要となり、体積も増えてしまいます。そのため造成された地盤を掘削してトンネルを造る際には余ってしまいます。そこで右岸側の工事終了から左岸側に取りかかるまでの過程で、ヘドロ対策についてもっと効率的な方法はないか、ということで考案されたのが先ほどの取り組みです。わが社にとしては初めての取り組みであり、これだけの規模は全国的にも珍しいケースではないかと思われます。

掘削土の"地産地消"的リサイクル

神戸山手線南伸部工事では、開削トンネル工事で発生した掘削残土を埋め戻しに再利用しました。ただ、道路部の埋め戻しについては、そのまま使うと時間の経過とともに地面が沈下してしまう事があるので対策が必要となります。また、埋め戻しにはあまり適さない粘性土も混ざっていたので、土に水、セメントを混ぜて流動化処理土として埋め戻しを進めるといった、ひと工夫した"地産地消"的リサイクルが行われました。8号京都線稲荷山シールドトンネル工事では、泥状の掘削土を固化し、トンネル内の底材に再利用しました。

阪神高速道路の工事は市街地なので、掘削した土を現地にストックするには難しい側面もありますが、かといって掘った土を処分してしまうと、埋め戻しの際に新たに購入しないといけなくなります。そうなると山を切り崩すなど環境保全の逆方向になりかねません。ただ、わが社だけで土をリサイクルするには量やストック期間などの限界があるため、公共団体などで構成されているリサイクルに関する協議会に参加し、情報交換しながら掘削残土の活用に努めています。

ちょっとおもしろいエピソードでは、淀川左岸線の大開南工区で昔の川の石積みが発見されました。資材として十分利用でき、かつ大量にあるため、大阪府の事業で使えそうということでお譲りすることになりました。いつもこういうものが出るわけではありませんが、建設副産物リサイクルの好事例ではないかと思われます。

図:代表的なグリーン調達の状況(例)

環境負荷の少ないグリーン購入を推進

平成13年4月に施行された「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)に基づき、毎年度「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が閣議決定されます。当社においても、法的な拘束力がある訳ではありませんが、この方針に準拠して、当社における環境物品等の調達の推進を図るための方針を定め、調達に努めています。

建設資材の品目では、建設汚泥から発生した処理土や鉄鋼スラグ混入路盤材などがありますが、特にCO2削減に効果的といわれる混合セメントは、わが社でも積極的に調達しています。セメントは原料の石灰石などを1450度以上の高温で焼くため、大量の燃料を使い、そして大量のCO2も発生します。それに対して混合セメントの一つである高炉セメントは、製鉄所から出てくる副産物の高炉スラグを混ぜることでセメントそのものの割合が減らせ、CO2削減につながるというメリットがあるのです。阪神高速道路の工事では仕様上、適応できないケースもあり、どこでも使用できる訳ではありませんが、橋脚の基礎の部分に用いるほか、トンネルの底板にあたる部分に混合セメントを使っています。

また、低騒音・排ガス対策型建設機械も環境物品等の一つであり、阪神高速道路が施工する工事では、このような周辺地域の環境に配慮した建設機械を使用することを原則としています。

紙類や文房具などの事務用品は、毎年調達する量や種類がほぼ決まっていますが、建設資材等はその年に発注される工事の内容、箇所によって、調達の実績が大きく変動する場合があります。

建設副産物リサイクルならびに、建設グリーン購入を推進し、循環型社会への貢献を果たすべく、より一層の環境負荷の削減に努めていきます。

出典:阪神ハイウェイ175号

※阪神高速8号京都線は平成31年4月1日(月)からNEXCO西日本と京都市に移管されました。