淀川左岸線の高見工区は、開削トンネルを経て擁壁区間と海老江JCTとをつなぐ、高架区間です。同工区におけるRC床版連続箱桁の設計に際し、コスト削減を目的として合成桁を採用しました。合成桁は、床版のコンクリートと鋼桁が、ずれ止めで結合された構造で、上部工の断面力の一部を床版が分担することにより、非合成桁と比べてコンパクトな構造にすることができます。本橋は、中間支点が鋼製橋脚と剛結された一体構造であるため(写真-1)、その特性を生かし、構造の合理化と耐久性の向上を図っています。
写真-1:高見工区における連続合成桁と中間支点が鋼製橋脚と剛結された一体構造
本工区では、並走する一般道路の建築限界を確保するため、中間支点を剛結構造とし、さらに主桁の桁高を低くする必要がありました(図-1、図-2)。しかしながら、桁高さが低くなると、主桁フランジの板厚が増え経済性が損なわれます。その対策として、合成桁を採用し上部工の断面力の一部を床版が分担することによりフランジの板厚を低減し、主桁の合理化を図りました。
なお、床版は経済性にもっとも優れていた、場所打ちRC床版を採用しました。
主桁の設計は、死荷重に対して床版発生応力が圧縮であれば、抵抗断面を合成桁として設計し、少しでも引張応力が発生する場合は、(鋼桁+鉄筋)断面として照査しました。一方、活荷重も含めた照査では、床版発生応力が許容引張応力以下であれば、抵抗断面を合成桁として設計し、それ以上の引張応力が作用する場合には、(鋼桁+鉄筋)断面で照査しました。
骨組みモデルによる格子解析によって連続桁の曲げモーメンを算出すると、一般には中間支点上が鋭角状にピークとなります。しかしながら、本橋は主桁と鋼製橋脚の横梁が剛結しているため、橋軸方向の横梁の幅によりピークカット効果が期待でき、さらに横梁の剛性により、発生断面力による作用応力は低減されると考えられました。そこで、中間支点上の実挙動を把握し、上フランジ、床版鉄筋に作用する引張力を適切に評価するため、FEM解析による照査を行い、設計に反映しました。
さらに、中間支点部の床版については、すべての荷重状態において、中間支点部のひび割れ幅が許容ひび割れ幅以内になっていることを確認しました。
図-1 橋梁一般図
図-2 P1橋脚正面図