トンネルは、施工法の違いによって、山岳トンネル、シールドトンネル、開削トンネルおよび沈埋トンネルの4つに分類することができます。このうち山岳トンネルは、字の通り、山岳地域に建設されるトンネルで、NATM(New Austrian Tunnelling Method)という施工方法が主流となっています。ここでは、都市に近い、地盤条件等が厳しいなかでのNATMの施工技術例についてご紹介します。
神戸長田トンネル(山岳区間)の南側約1.6kmは、住宅密集地下で土被りが小さいうえに、地下水位も高く、須磨断層の影響を受けた強風化花崗岩や砂層、粘土層、砂礫層の互層からなる大阪層群の低強度の未固結地山となっており、トンネル建設には非常に厳しい現場です。このため、鋼管と地山の改良体により形成したアンブレラ状のシェルで、トンネルの天端や切羽の安定を図ることにより、地表面への影響を最小限に抑えるアンブレラ工法を主体に施工しています。
アンブレラ工法は、トンネル切羽から前方地山にアーチ状のパイプ状を打ち込んで、大規模なアンブレラを形成することによって、地山を直接支持し、内空変形や沈下を防止するものです。主に土被りが小さい場合や土砂地山のトンネルに採用されています。
図:アンブレラ工法