都市部の地下にトンネルを構築する場合、比較的浅い場所では、地上から地面を掘り下げてトンネルを造ってから埋めるという開削トンネルが多く用いられます。
開削トンネルは、まず両側の土が崩れないように鋼材やコンクリートで土留め壁を構築したうえで、トンネルを造る深さまで、壁の内側を掘り下げて大きな溝を造ります。
掘り下げる深さなどにもよりますが、土留め壁としては、一般的にH 形鋼を芯材とした柱列式地中連続壁が用いられています。都市部で開削トンネルを造る場合、その多くが住居等の周辺施設との近接しているため、土留壁芯材の規格は土留め壁の変位を抑制することから決められることが多く、芯材の応力度としては余裕を持つ場合があります。そこで、これをトンネル本体に有効活用し、本体の鉄筋コンクリート(以下RC)部材厚を低減する考え方を取り入れたのが、側壁合成トンネルです。(図-1)合成土留壁構造とした場合、一般的に開削施工幅が小さくできるので、掘削土量、鉄筋量及びコンクリート量等を削減でき、経済的に有利となります。
側壁合成トンネルにおける合成土留壁は、H形鋼芯材とRC構造の本体側壁がずれ止めを介して一体となり、作用断面力に抵抗する構造となっています。従来、ずれ止めには頭付きスタッドジベルが多く採用されてきましたが、淀川左岸線の島屋北工区においては、スタットジベルに代わり、橋梁分野で実績の多い孔あき鋼板ジベルを適用しました。
図1:側壁合成トンネル
孔あき鋼板ジベルは(図-2)に示す通り、孔をあけた鋼板を鋼材に溶接して取り付け、孔に充填されたコンクリートにより、鋼材とコンクリートを一体化するものです。この孔あき鋼板ジベルを合成土留壁に適用する場合、次のような利点があります。(図-3)
図2:孔あき鋼板ジベルによる合成土留壁
図3:頭付きスタッドとの比較