閉鎖空間であるトンネル内で火災が発生した場合、火災から発生した煙によってお客様の避難が妨げられる恐れがあります。そのため、トンネル換気設備を用いて煙の流れを制御し、お客様が安全に避難できる環境を確保する必要があります。
煙の制御方式は2方式あります(図-1)。1つ目は火点前方で渋滞が発生していなければ煙を前方に流す「前方排煙制御」です。2つ目は、火点前方で渋滞が発生していれば火点上部付近に煙を滞留させておく「風速零化(低風速化)制御」です。
トンネル内は、自動車走行による気流(交通換気力)や自然風がありますが、風速零化(低風速化)制御時にこれらの気流があると煙がその気流にかき乱されて、トンネル下部にまで拡散する恐れがあります。そのため、トンネル内に設置した風向風速計(図-2)のデータからインバータ駆動ジェットファン(図-3)などのトンネル換気設備の制御を行い、気流を停止させることにより(図-4)煙の拡散を抑制し、避難時間を確保します。
①前方排煙制御
通常交通時 |
|
---|---|
②風速零化
(低風速化) 制御 火点前方に停滞車両、 |
※トンネル内の気流を停止させることにより煙の拡散を抑制し、避難時間を確保します。 |
図-1 「前方排煙制御」と「風速零化(低風速化)制御」
トンネル内の天井に設置しているジェットファン。巨大な送風機でトンネル内の気流を制御します。
図-2 風向風速計
図-3 インバータ駆動ジェットファン
図-4 火災発生時の風速零化(低風速化)制御概念図