防災・減災への取り組み Efforts for Preventing and Mitigating Disasters

阪神高速道路の耐震対策

阪神淡路大震災を教訓にした耐震補強

兵庫県南部地震で受けた被害を教訓に、阪神高速では道路橋の耐震補強や建設をすすめています。近い将来に発生が予想されている東南海・南海地震のようなプレート境界型の大規模地震、兵庫県南部地震のような内陸直下型地震の2種類の地震動を想定し、落橋に対する安全性を確保するほか、地震後も応急復旧を行うことで橋としての機能を速やかに回復できるように努めています。
阪神高速では、兵庫県南部地震において大きな被害が集中した、1980年以前の基準により建設された橋梁の落橋・倒壊対策(図参照)は2011年度までに完了しています。

橋脚の補強(A)

鋼製橋脚の中にはコンクリートを充填、コンクリート橋脚には鋼板を巻き立てて、橋脚の強度とじん性を向上しています。

桁かかり長の確保(B)

地震によって橋桁が落下することのないよう、橋脚のはり部分を拡幅します。

落橋防止装置の改良(B)

想定以上の地震動で、橋脚と橋桁間に予期しない相対変位が生じた場合でも落橋することがないように、橋桁どうし、または橋桁と橋脚をケーブル等で連結します。

免震支承への取り替え(B)

地盤からの地震の揺れを橋桁に伝えにくくし、地震力を低減させるために、柔らかく、揺れを減衰させる積層ゴムを用いた免震支承を採用します。

橋桁の連結(C)

橋桁どうしを直接つなぎ合わせることで、地震による橋桁の落下を防ぎます。


耐震補強のさらなる推進

2016年熊本地震によりロッキング橋脚を有する橋梁が落橋に至ったほか、路面に段差が生じ速やかな機能回復ができず緊急輸送の支障となったケースがありました。
阪神高速は今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い地域に位置しており、ほとんどの路線が緊急輸送道路に設定されています。今後、大規模地震後にも早期に道路サービスを再開し、道路機能を確保できるよう、橋脚の補強及び支承部の改良(支承等の補強や落橋防止システム設置)等のさらなる耐震対策を進めています。

熊本地震時の落橋
熊本地震時の落橋
ロッキング橋脚
ロッキング橋脚
落橋のメカニズム
落橋のメカニズム
今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率 今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%、6%であることは、それぞれごく大まかには、約100年、約500年に1回程度、震度6弱以上の揺れに見舞われることを示す。
今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率

社会資本整備審議会道路分科会
第57回基本政策部会配布資料