橋を構成する部材のひとつである床版は、自動車などの荷重を直接支える床部分で、一般的には鉄筋コンクリート構造の部材です。本橋には"合成床版"と呼ばれる床版を採用しています。合成床版は、鉄筋コンクリートと鋼板を組み合わせた床版形式で、鋼板パネルを鋼桁上に敷設した後、鉄筋を配筋、コンクリートを打設し、鋼板パネルとコンクリートを"ずれ止め"で接合し一体として荷重に抵抗します。合成床版とする事によって、耐久性が向上するとともに、コンクリート打設時に型わくの設置を不要とすることで施工性が向上し工期短縮をはかる事が可能となります。
合成床版は、各社によって開発されています。下図は、これから整備される守口ジャンクションの渡り線での採用予定の一例です。
図:橋を構成する床版と鋼桁
もうひとつの橋を構成する部材の"桁"は床版を支える部材で、本橋では"合成桁"を採用しています。合成桁とは、床版と鋼桁とを"ずれ止め"で接合し合成床版と同じ様に一体として荷重に抵抗する桁形式です。合成桁とする事によって、桁の高さを低くする事につながり、橋下の空間を広く確保できたり、鋼板の厚さを薄くする事によって工費を抑える事ができます。
本橋は、この様に異種材料を適材適所に組み合わせて荷重に抵抗する"合成構造"を採用する事によって、合理的な橋梁として、"合成床版を用いた連続合成桁"を採用しています。
図:合成床版の例(※注1)
合成桁の施工を下図に示します。仮設柱をたてて、鋼桁を架設、仮設柱を撤去し合成床版を施工します。合成桁としては、自動車など活荷重が乗ったときに初めて有効になります。
図:合成床版を用いた連続合成桁の施工
図:合成床版の製作・施工
この技術を採用した理由
この橋の下にある歩道橋との離隔が小さく、鋼桁の高さに制約があったため、合成桁を採用しました。また、橋の下に交通量の多い一般道路があったため、型わくの不要な合成床版を採用した事によって工期短縮を図ることを考えています。
この技術の改良や今後の展望など
本橋については詳細設計中ですが、特に合成床版の維持管理に配慮した工夫を考えていきたいと思っています。