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建設技術
イメージ ジョイントが無い拡幅!?外ケーブルを用いた鋼コンクリート複合構造による既設RC梁の延長
橋梁 | 鋼橋

ジョイントが無い拡幅!?
外ケーブルを用いた鋼コンクリート複合構造による
既設RC梁の延長

建設場所
12号守口線
キーワード
混合構造、複合構造、外ケーブル、ジャンクション

供用中の既設橋脚の梁部分を鋼コンクリート複合構造によって延長する技術について、守口ジャンクション渡り線(現在建設中)での事例を挙げてご紹介します。

本ジャンクションの建設でのランプ(連結路)部分は、道路上に目地(ジョイント構造)を設けないように、既設橋梁を改築して拡幅するよう計画しています。そのため、新設する床版や鋼桁を既設構造に接続すると同時に、それらを支持する橋脚の梁についても既設梁に新設梁を一体化する必要があります。既設梁はRC梁(鉄筋コンクリート梁)ですが、新設部分は既設橋脚への負担軽減のための軽量化と、高架下の一般道路の交通規制時間を考え、架設時間を短縮できる鋼製梁を採用しました。

既設RC梁と新設鋼製梁の接合部は、鋼板とコンクリートからなる合成構造となっています。既設RC梁の、はつり出された鉄筋を延長し、新設鋼製梁内に充填したコンクリートを介して、新設鋼製梁内に設けた孔あき鋼板ジベル(パーフォボンドジベル)と呼ぶ"ずれ止め"によって鋼製梁に力を伝達するメカニズムです。

図:外ケーブルを用いた鋼コンクリート複合構造による既設RC梁の延長

図:外ケーブルを用いた鋼コンクリート複合構造による既設RC梁の延長

また、新設柱で梁延長部分を支持している部分は新たに支点となります。この支点部の梁には上側に引張力が作用します。この引張力を低減するために、外ケーブルというPC鋼材を梁側面(断面の外側)に配置し、緊張力(プレストレス)をケーブルに導入することによって、支点部に圧縮力を作用させています。
支点部に圧縮力が確実に作用するかどうかという設計上の技術的な課題については、高次解析によって検証、確認をしました。

図:支点部における圧縮力の検証(FEM解析)

図:支点部における圧縮力の検証(FEM解析)

本構造のように、異種の材料による部材を接合した構造を"混合構造"といい、前述の接合部のように異種の材料によって構成された断面である"合成構造"と合わせて"複合構造"と呼ばれています。"複合構造"は異種の材料を適材適所に使用した合理的な構造といえます。

工法、工程

施工ステップは下図の通りです。

1.新設橋脚柱完成
2.鋼製梁、合成構造施工
3.外ケーブル緊張
4.新設鋼桁、床版施工

図:施工ステップ図

ひと言担当者からひと言 小坂 崇さん

小坂 崇さん

この技術を採用した理由

延長する梁の下に守口線の入路があるため、施工時の規制時間を短くすること、軽量化による既設橋脚への負担軽減を考えて、この構造を採用しました。

この技術の改良や今後の展望など

既設構造物を生かす複合構造として、さらなる軽量化や、外ケーブルの定着部構造についてもっと合理的な構造がないかを検討していく必要があると考えています。