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京阪神地域の地盤データを活用し、
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1995年1月17日早朝に発生した兵庫県南部地震は、阪神地方を中心に甚大な被害を与えました。阪神高速道路においても例外ではなく、特に3号神戸線では5箇所で落橋に至るなど大きな被害を受けました。同じ被害を二度と出さないよう、阪神高速道路では震災後、3号神戸線と5号湾岸線の復旧、既設路線の耐震補強に取り組みました。
橋の耐震設計のプロセスとしては、
- 入力地震動の設定(どんな地震が来るのか?)
- 部材の解析(設定された地震に対して橋の部材がどのように反応もしくは壊れるか?)
- 橋全体での解析(設定された地震に対して橋が全体としてどのように反応もしくは壊れるか?)
- 1・2・3を踏まえたうえで設計
となっています。要約すると、「想定される地震に対して耐えうるように橋を設計する」ということです。
ここで問題となってくるのが、「どんな地震を想定するか?」ということです。これまでは、橋を建設する場所の近くに活断層があることがわかっていても、橋の耐震設計に取り入れられておらず、全国で一律に定められた入力地震動を用いていました。
そこで阪神高速では平成13年度から京阪神地域の地盤データを活用し、阪神高速道路が建設されている地点毎において、今後どのような地震が発生するのか推定し、橋の耐震設計を行ってきています。
道路橋示方書・同解説(Ⅴ耐震設計編)平成14年3月においては、道路橋の耐震設計に、3つの入力地震動について照査を行うこととなっています。
3つとは、レベル1地震動(橋の供用期間中に発生する確率が高い、中規模程度の地震動)、レベル2地震動タイプⅠ(発生頻度の低いプレート境界型の大規模地震動)、レベル2地震動タイプⅡ(兵庫県南部地震のように発生頻度が極めて低い内陸直下型地震動)です。
しかし、道路橋示方書にも
『近年、建設地点周辺の活断層の調査結果等に基づき、断層モデルを用いて設計地震動を算定する手法等も開発されつつある。今回の改訂では、このような手法を活用して、当該建設地点における設計地震動を適切に推定することができる場合には、これに基づいて設計地震動を設定するものとした』
と記載されており、阪神高速でも京阪神地域の特性を踏まえた耐震設計を行ってきています。
具体的には大阪湾断層、有馬高槻構造線、上町断層系、中央構造線等を考慮して、「1.入力地震動の推定」を行っています。推定された入力地震動を用いて橋全体の3次元FEM解析を行い、平成13年度には港大橋の耐震設計、その後、湾岸地域のその他の長大橋、8号京都線の橋梁耐震設計を行っています。
※阪神高速8号京都線は平成31年4月1日(月)からNEXCO西日本と京都市に移管されました。
担当者からひと言 飛ヶ谷さん
そのため、震災後、阪神高速では、地域特性を考慮した地震動を推定し、実務(設計)に積極的に取り入れています。