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維持管理が果たす役割の重さをやりがいとして

阪神高速ではASRにより鉄筋損傷が生じた橋脚、およびこれに類似した劣化状況にある橋脚を予防保全的に補修するとともに、その他の橋脚も含めて追跡調査・研究を続けている。

写真:アルカリ骨材反応対策 報告書
最後に仕事へのやりがい、或いは若い技術者へのメッセージをお願いします
新名

維持管理という仕事は地味な上に、厳しい制約条件があります。できるだけ高速道路の規制や通行止めをしないで補修をするとか、経済的にも予算を抑えるとか。
でもその制約があるからこそ、やりがいがある。制約の中で自分がいかに合理的に、中身のある仕事をするか、それが仕事の醍醐味だと思います。
それと個人的なことなのですが、私にとってはコンクリートそのものが面白いんです。石、砂、セメント、水という、比較的どこにでもあるような材料を使って強い構造物をつくるという、そこのところがものすごく面白い。鉄のような工業製品と違って、育て上げていく面白さとでも言うのかな。ASRなどという、厄介なことも持ち上がりますが、そこも含めて魅力がある素材だと思います。

写真:新名 勉
佐々木

せっかく造ったものに対して愛着をもつこと、それが維持管理という仕事には大切だと私は考えています。この構造物を何とか守っていきたい、構造物ができるだけ長く、機嫌よく役割を果たしてくれれば嬉しい、そんな気持ちが点検をする時や、異常が起きた時の対応に生かされてくるのではないかと思うのです。
構造物はしゃべることができません。痛いとかしんどいとか言ってくれるわけではない。でも、無言の訴えは症状に出ているんです。それをしっかりと見つける目を養わなくてはならないし、どのような処置が適切かを的確に判断できなくてはならない。
これからは、高度経済成長期に大量に建設され蓄えられた構造物を、上手に維持管理していかなくてはならない時代です。腕が良くて心が温かいお医者さんのような技術者が、ぜひ育っていってほしいですね。

写真:佐々木 一則
(2011年3月 更新)
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