「COSMOS」は2019年6月、本格運用を開始した。「COSMOS-GIS」をプラットフォームとし、点検・保守管理システムと総合防災システムが繋がっていたが、各業務支援システムとのさらなる連携を図るため、担当者たちは粘り強く調整を進めていった。
ご担当された時点で「COSMOS」はどのような段階だったのでしょうか。
COSMOSが2019年6月に運用をスタートした直後の7月から担当になりました。COSMOS-GISというプラットフォームができ上がったところで、各システムとの連携については試験的に1つのシステムと繋がっていただけでした。まさにこれからGIS基盤を通じて各システムとの連携を進めていく段階でした。
各システム連携のため、最も大きな課題とそれをどのように解決されたのか、お聞かせください。
各部署で管理していた業務支援用のシステムは分野が多岐にわたるため、COSMOS-GISと各システムの “最適な連携の在り方”について考えていく必要があり、各システムをよく知ることと、各部署でCOSMOS-GISを知ってもらわなければなりません。まずは各部署において保有するシステムや情報を把握することから始めました。
各システムについて理解を深めるため、実際にシステムを動かしながら、GIS上で重ねた際にはどのような見せ方ができるかシステムごとに提案する打ち合わせを重ねました。各部署へはCOSMOS-GISを見せながら説明することで、視覚的に見せることができ具体的な提案ができたことで理解が深まったのではないかと思います。
各部署のシステムを把握した上で"最適な連携の在り方"を調整されたのですね。特にこだわった点はありますか。
当時は社内においてGISというものがまだ浸透していない状況にあり、その上で社員全員にとって使いやすいシステムを目指して検討を重ねました。
特に操作性には力を入れました。マニュアルで操作を一つ一つ確認しながら進めるのではなく、誰もが直感的に操作ができてどんどん使っていけるように、操作を簡単に仕上げたいと常に考えながら進めていきました。
私は担当となるまで、システムにあまりなじみのない部署にいたので、GISを扱うこと自体も不慣れであったことが課題でしたが、逆に苦手であったからこそもっと使いやすくしたい、こういった見え方ができればわかりやすいとさまざまな提案をすることができたのではないかと思います。不慣れな私が担当したのも、ある意味では良かったのではないかと思っています(笑)。操作性は、今後もさらに使いやすくなるよう改善を進めていくことと思います。
調整していく中で、気を付けた点はありますか。
システム連携という手段が目的化しないように心掛けていました。さまざまな課題解決に向けた1つの手段としてシステム連携がある。各部署から機能要件を聞き取り、整理する際、常にその目的意識を持って取り組みました。
システム連携はどの程度進められましたか。
連携想定したシステムのリストがあったのですが、そのほとんどは連携させることができました。中には一旦連携させるところまで進めたがもう少し工夫の余地のあるものも残りましたが。
日々の業務への効果・影響等はいかがでしょうか。
GISプラットフォームで簡単に重ね合わせて正確な位置情報を確認できるようになっただけではなく、誰もが簡単に横断的に情報を閲覧できるようになったことで、業務効率・高度化がなされたのではないかと思います。
課題も多かったのですが、携わった期間の中で大きく前進することができ、嬉しく思っています。
業界内外からの反響も大きかったのでは?
2021年度の土木学会「インフラメンテナンス賞チャレンジ賞」を受賞しまし、他の高速道路会社や鉄道会社などからも興味を持っていただきました。
電子地図の集約化(イメージ)