日頃のトンネル換気に加え、火災時などいざというときに確実な稼動という使命を負ったジェットファンは、24時間稼働が原則。そうなると不具合への対応や落下防止の対策も十分に練っておくことが求められる。
そうですね。正蓮寺川トンネルには天井板はありませんが、ジェットファンも天井から吊り下げているものですから、落下防止対策を施し、安全性の確保に万全を期しました。笹子トンネルの事故は淀川左岸線の建設中のことで、まさにジェットファンを吊り下げる工事の直前だったため、念のためアンカーボルトの本数を増やすだけでなく、落下防止ワイヤーを追加するという対策を講じました。それとこれは当初から計画の中に入っていたことですが、全台のジェットファンに振動計を設置し、常にジェットファンに異常が無いか状態監視を行えるようにもしました。
はい。これまではジェットファンの吊り下げや運転時の状態を確認しようと思えば車線規制をするしかなかったのですが、常に振動計からの信号を受信することによって、異常な振動があればすぐにわかるようになりました。路面からの目視点検では難しかったアンカーボルト・ナットのゆるみや回転翼の欠損などを知ることができ、早期に対策することが可能となります。また今後オーバーホールの計画を検討する際にも、この振動計による監視が役立ってくれると思います。
私は入社1年目に淀川左岸線の設計に関わっていました。その工事に監督として携わることになったのが入社10年目のことです。机上で考えたことを、今度はつくる側としてかたちにしていく、こんな面白いことが出来る会社はなかなかないと思います。特に今回は風速零化という、人命を守るための新しい技術への取り組みに挑戦しました。その成果が試される日が来ないに越したことはないのですが、いざという時のことを想定して少しでも皆様のお役に立てたらと試行錯誤した日々は、自分にとって貴重な経験になりました。これからも道路の果たす役割をしっかりと胸に刻んで歩んで行きたいと思います
今回のような大きなプロジェクトばかりではなく、地味な仕事も多いのですが、無駄なものは一つもないということを、最近つくづく感じています。業務や工事の関係者との調整など、面白いと思って取り組めば本当に面白くなることがそこらじゅうにあるのが、阪神高速という会社です。基本的に「やりたい」と手を挙げればやらせてもらえる社風なので、楽しいですが責任は全部自分に返ってくることを覚悟しなくてはなりません。それでもやりたいことが次々に出てきて、どのタイミングで自分のアイデアをアピールしようかと虎視眈々と狙っている自分・・・。完全にハマってますね(笑)
私たちは阪神高速の中の“機械職”と呼ばれる技術部門を受け持っています。今回のようなトンネル換気設備や防災設備のほか、車両軸重計測設備、路面排水設備、凍結防止溶液製造プラントなど多種多様な機械設備の建設・維持管理・資産管理などの仕事をしていますが、真に有用な機械設備を考え、創造していくためには、他部署の仕事も含め高速道路全体のことを広く、深く知っておく必要があります。口で言うのは簡単でも実行するのはなかなか困難。それでもその困難さゆえに、いつまでもやりがいを失わず、情熱を持ち続けることで、向上心を保って行けるのだと思います。また多くの人が関わって一つのものをつくり上げるだけに、人間関係が非常に重要です。社内外の関係者とのつきあいからも多くのことを学べます。自分を成長させたい、自分の伸びしろを知りたいという若い人には、ぜひチャレンジしてほしいですね