トップページ > 阪神高速のこだわりの技術 > 三宝ジャンクションの景観設計(3/5)

地域の顔となれる美しいジャンクションを設計せよ(3/5)

三宝ジャンクションの意匠

通常の構造設計をしたのでは、今までの角ばったデザインになりがちな様々な形の構造物を作ることになる。しかしそれではいかにも人工的な、威圧感のあるジャンクションになってしまう。茂呂たちのプロジェクトチームでは、壁高線の曲線ラインをきれいに見せることに注力し、色彩の統一、曲線の多用など、人工感を和らげ上部構造の連続性をもたせることに徹底的にこだわった。そうした工夫の数々を紹介しよう。

上部構造の意匠

鋼橋とコンクリート橋の桁高を統一

橋梁上部構造は極力薄く見せ、存在感や人工感を和らげるため目立つ角や段差を感じさせない、連続性を強調する形状としている。

鋼橋とコンクリート橋の掛け違い部分では、不連続な印象とならないよう、主桁断面形状や張り出し床版の長さを統一し、鋼桁を同系色に塗装している。

景観設計前

景観設計前

景観設計後

景観設計後

壁高欄は、高欄断面を折り曲げることで生まれる陰影効果を利用し、明るい面を目立たせることで上部構造の連続性を強調し、ランプ(線形)の美しさを表現している。

壁高欄断面図

壁高欄断面図

鋼橋の色彩

鋼橋の色彩

鋼橋とコンクリート橋。構造形式、質感、色彩も異なる橋梁が重なり合う三宝ジャンクション。色彩を同系色にすることによって不連続な印象を和らげ、統一感をもたせている。色彩は橋桁を目立たなくすることで、壁高欄を相対的に目立たせる白色が選ばれた。

景観設計前

景観設計前

景観設計後

景観設計後

下部構造の意匠

様々な形状の橋脚に、曲線と表面処理を行い統一感のある形状で柔らかい印象をもたせ、さらに表面処理によって陰影をつけ、細く軽やかに見える工夫を施している。また、主桁と橋脚は主従関係を明確にさせ、主桁で連続性を確保した。

下部構造の色彩
1次選定(下部構造形状)

1次選定(下部構造形状)

2次選定(表面処理)

2次選定(表面処理)

景観設計前

景観設計前

景観設計後

景観設計後

付属構造物の意匠

排水構造、検査路、ケーブルラック、落橋防止構造などの付属構造の設計を先行させ、景観を妨げるものについては極力見えない位置に配置した。
機能上必要で、どうしても見えてしまう排水構造や落橋防止構造は、本体構造と共に「積極的に見せるデザイン」に。
今回、排水管は壁高欄の下に一定距離で吊り下げられ、きれいなラインを描いている。

壁高欄断面図

景観設計を施すことにより、コンクリート橋と鋼橋の掛違い部に連続性が生まれ、さらに曲線・表面処理・折り曲げなどの意匠上の工夫によって、威圧感が少なく、遠景から見たフォルムの美しさも実現した構造物となった。

景観設計前

景観設計前

景観設計後

景観設計後

ページトップへ
目次
Case.11 地域の顔となれる美しいジャンクションを設計せよ三宝ジャンクションの景観設計
1ページ景観に配慮した設計へのこだわり
2ページ具体的な景観方針の決定
3ページ三宝ジャンクションの意匠
4ページものづくりへの情熱
5ページ維持管理が容易になるデザイン