「情報処理」が行われているのは朝潮橋・京橋にある交通管制センターである。
都市の大動脈を円滑に動かすための頭脳とも言えるこの場所には、各種情報を処理するコンピュータ室と、高速道路の安全を見守る管制室とがある。管制室は管制卓を真ん中に、グラフィックパネルやフリーパネル、テレビモニターなどを使って、刻々と変化する状況が壁面いっぱいに映し出されている。集められた情報は、ここで的確に判断され、様々な形でドライバーへと提供される。
「情報提供」のための装置としては文字情報板、図形方式所要時間表示板、図形情報板、道路情報ラジオ、主要PAに置かれた道路情報ターミナル、所要時間表示板、経路比較情報板、自動電話案内、突発事象警告表示板など、多種多様な情報提供装置が高速道路の本線上や入口、入口付近の一般道等に設置されている。
文字情報板
経路比較情報板
図形表示板
そうですねえ…。1つは平成4(1992)年に行った突発事象警告システムの導入でしょうか。
これは事故や落下物などの突然の障害、つまり突発事象をいち早く検出し、情報提供するというものです。
突発事象警告システム
曲線部などの見通しの悪い区間にCCDカメラを取り付け、カメラがとらえた映像が突発事象だと判断するとすぐ、突発事象警告表示板によって後続車に警告を送り、さらに突発事象の映像だけを蓄積します。
1. トラックのテールが右に揺れる
2. 立て直そうと逆ハンドル操作
3. 右側壁に激突
4. 停止検出
事故の映像データ例
阪神高速ではまず阿波座カーブに設置したのですが、そのことによって8分かかっていた事故等の認知を、2秒に短縮することができました。また表示板の点灯によって、カーブへの進入速度が低下するなど、二次災害の防止に大きな効果を発揮しています。
平成15(2003)年度に行ったものとしては、すべての情報表示の更新周期を5分から2.5分に短縮したことが挙げられます。渋滞の長さの変化を、より早く提供できるようになりました。
また、管制室内のグラフィックパネルでは、今まで阪神高速道路のみの渋滞の表示だったのに対して、関連道路を含めた広域道路網の情報を表示できるようになりました。
さらに道路情報ラジオでは、これまでの交通規制や交通障害情報、渋滞の長さや目的地までの所要時間の案内に加えて、渋滞通過時間も提供できるようになりました。
平成21(2009)年12月からは、高速道路入口手前に設置している情報板において、交互表示機能を導入しています。今まで一つの情報しか表示できなかったものが、二つの情報を提供することが可能になりました。
交互表示機能
そうですね。でないとほとんど何もない所から苦労して交通管制システムをつくり上げてきた先輩方に顔向けできないですからね。
現在開発中なのは、高速道路の入口手前情報板での所要時間傾向表示。事故の直後などに、これから渋滞が増えていきそうだという情報を提供することで、ドライバーの方々に最適な経路選択をしてもらおうという意図のもと、開発が進められています。