5年の歳月を経て完成したDr.RING。2016年4月から本格運用が始まった。今後は5年ごとに国に報告することが義務づけられている港大橋の定期点検の主役として活躍する。また3年間におよんだプロジェクトは、それに携わった技術者たちの心の中にも多くのものを遺した。最後に、そんな先輩たちからのメッセージを紹介して、この物語を締めくくることにしよう。
機械職の中では、若手の技術者たちが自ら勉強会を開催し、多くの若手技術者が参加し、一緒に学び、高めあっていく風潮があると感じます。高速道路のようなインフラ系は、これからまだまだ未知の技術的な課題が潜在している分野でもあります。中でも、今あるものを長く将来にわたって維持管理していくための技術は、今後、必修課題であり、これからさらに進化を遂げていくことが求められるものであると感じています。そんな未来の技術を、一緒に力をあわせて切り開くことができるよう、多くの若い力の参加を期待しています。
いま建設工事が進んでいる真最中の大和川線は、路線の大半がトンネルであり、トンネルには換気設備をはじめ、さまざまな機械設備が備え付けられ、快適な走行や安全性の向上に大きな役割を果たしています。また今後建設が進んでいく大阪湾岸道路西伸部は橋梁が多く、ここでも保守点検のための設備など、機械職がかかわる仕事が広がっています。これから必要とされるのは、固定観念にとらわれず、柔軟な思考力を持った機械職。若い人材への期待が、さらに膨らんでいます。
空調設備や給排水設備、トンネルのジェットファンなど、機械職が設計や施工を担当する設備機器は、どれも人目に付きにくいものばかり。でもそうした機械設備がなくては、高速道路は高速道路としての機能を果たすことができませんし、お客様に快適なサービスを提供することもできません。当社の基本理念は、「先進の道路サービスへ」。機械設備は、そのサービスの重要な一翼を担うものであり、そのことを思うと自らの責任の重さを再認識します。それが日々の仕事を支える原動力ですし、これを読んでいる皆さんにも、ぜひそのことをわかってもらいたいと思っています。
阪神高速の社内で、機械職の技術者はまだまだ少数派ですが、それだけ任される仕事の範囲は広い。だからこそ試行錯誤を繰り返しながらでも、与えられた責任をまっとうできた時は、大きな達成感があります。また専門職種に関わらず、幅広い経験を積むことができ、技術者として一人前に成長するスピードが早いのも、この仕事の大きな魅力。阪神高速には技術者として大きく成長できる絶好の環境があるということを、多くの人に知ってもらいたいと思います 。
阪神高速の仕事の魅力のひとつは、自分の手で作り上げたものを、人任せにするのではなく、自分自身の手で長く高速道路としての機能を果たせるように維持管理する仕事もできること。一般の建設会社との違いは、ここにあると思います。大阪湾岸道路西伸部や淀川左岸線延伸部といった新規路線の建設や、リニューアルプロジェクトも本格化しているだけに、若い人材が活躍するチャンスも広がっています。阪神高速は、若手の技術者にとって楽しみの尽きない会社です。