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千葉から海上輸送。台風までもが、邪魔をした

プロジェクトでは、港大橋への据付け工事でも、かつてない取り組みが行なわれた。造船ドックで完成した巨体を船に積み込み、千葉県のドックから3日がかりで大阪港まで海上輸送。そのまま海上から港大橋に据え付けようというのである。巨大クレーン船を使っての「一括架設」は、土木構造物以外では30年ぶり。据え付け工事の施工管理を担当した下方正康(1996年入社)は、想定外を超える事態に対応しなければならなかった。

Dr.RING
港大橋への据え付けで、大変だったことは?
下方

阪神高速では、その年(2015年)の秋に高速道路を通行止めするフレッシュアップ工事を計画していて、その事前工事との兼ね合いで土木などの他部門との日程調整に非常に多くの労力を要しました。
また、自動車の交通管理者である高速道路交通警察隊や船の航行を管理する海上保安庁など関係官庁との協議には、およそ1年かかりました。

港大橋は、1日10万台の通行量があり、工事で通行規制すると大渋滞になり交通安全上問題があるので高速道路交通警察隊はなかなか工事を認めてくれません。また海上保安庁も国際航路上に大型船が通過する航路上に巨大なクレーン船を停めて夜間に工事を行なうことに航行安全上問題あり、首を縦に振ってくれません。高速道路上で交通規制をして、『いくつかのパーツに分けて、現地で組み立てればいいじゃないですか』といわれるのですが、アルミの溶接は高度な技術が必要なので品質管理の上からも問題があります。

一括架設でなければならない理由を説明し、交通及び航行安全上の問題を解決して理解を得るのに多くの時間が必要でした。

単に「据え付け」といっても、周到な事前準備が必要なのですね?
下方

それだけではありません。工事では、時として予期せぬ出来事が起きるのですが、今回もDr.RINGを積んだクレーン船が千葉の港を出て大阪港に向かう途中、台風の接近で伊勢湾に一時避難せざるをえなくなり、到着が大幅に遅れてしまいました。大阪港に到着したのは、据え付け作業の本番当日。

ギリギリのタイミングで、さすがにあの時は気を揉みましたね(笑)
今回のプロジェクトで得たものを挙げるとすると?
下方

入社以来、空調設備や防災設備の設計施工に携わってきましたが、これほど大きな設備の施工を担当したのは初めてでした。海上保安庁をはじめとする関係官庁との調整に携わる中で、海には海のルールがあることを知り、折衝のスキルなど多くのことを学びました。
機械設計の技術者としてこれまで以上に幅を広げることができたと思っています。

悪戦苦闘の末、Dr.RINGは2016年に完成、今年から供用開始されました。
林

2017年1月に、初めてDr.RINGを使った点検作業が行われました。まだまだ操作や運用について不慣れなところもあって、実力を100%発揮しきれていない面もありますが、5年ごとに国への報告が義務付けられている「法定点検」を見据え、Dr.RINGを使って点検作業にあたる部署とも連携して効果的な運用計画を策定していきたいと考えています。

港大橋は規模が大きく、部材数や点検箇所も非常に多いので、Dr.RINGを最大限に有効活用しながら万全の維持管理体制を構築していきたいと思っています。
ありがとうございました。
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