トップページ > 阪神高速のこだわりの技術 > 工事情報等共有システム「Hi-TeLus」(5/5)

信頼をつなぐシステムへの進化をめざして。

「Hi-TeLus」が真価を発揮する時

新たな使命

半年におよんだ試行導入は、課題抽出など期待通りの成果をおさめて終了。2019年7月には、土木工事に対象を限定して、「Hi-TeLus」の本格運用が始まった。適用業務は、今後さらに拡大される予定だ。
本格導入と時を同じくして、プロトタイプの試行導入に参加した平野翔也は、技術管理課に異動となった。試行導入を実際に経験し、現場で耳にしたユーザーの生の声をこれからの機能追加の開発に生かし、「Hi-TeLus」をユーザビリティに優れたシステムへとさらに進化させることが、平野翔也に与えられた新たな使命だ。

現場のユーザーからは、「ログインが手間だ」、「書類が届いたことを知らせてくれる通知機能がほしい」といった、さまざまな要望が届いています。
そうしたひとつひとつの声に耳を傾け、すべてのユーザーにとって便利で使い勝手のあるシステムをつくりあげることが、今の私の仕事です。(平野翔也)

求められれば、どこへでも

また「Hi-TeLus」の存在は、社内でもまだ一部の人間にしか知られていない。一人でも多くの社員に「Hi-TeLus」を知ってもらい、普及促進に務めることは、これからの大きな課題でもある。

そこで「Hi-TeLus」がどういうもので、何ができるのかを知りたいという声を聞けば、本社の関係部署はもちろん現場事務所にも足を運んで説明会を開き、内容を詳しく解説する活動も行なっています。
説明を聞くと、誰もが一様に「便利そうですね」と話してくれます。でも机の上でいくら説明を聞いても、「今ひとつピンと来ない」というのが正直なところではないでしょうか。
これからは、実際にHi-TeLusを使ってみた時に感じる不安や質問にも答える機会を多くつくり、システムをフルに活用いただける環境づくりにも取り組みたいと思っています。(平野翔也)

Hi-TeLus説明会の様子

Hi-TeLus説明会の様子

違う景色が見えてきた

工事監督部署にいた頃は、Hi-TeLusを使う立場だった。それが今は、つくる側へと立場を変えた。
周囲の環境が大きく変化した中で、平野翔也の目に映るものも以前とは違う。

工事監督部署にいた頃は、直接お会いしたことのない高速道路のお客さまを想像しながら仕事をしていました。それが今は、「Hi-TeLus」を実際の業務で使うユーザーがお客さま。直接会ってお話しする機会も多く、一人ひとりの方が「便利だな」「ラクになったな」と思いながら仕事する姿をイメージできるのがいちばんの喜びかもしれません。
工事監督部署とはまた違った、別の面白味を発見できたと思っています。(平野翔也)

変えるべきことを、変えていく

一方技術管理課でのキャリアが長い平野敏彦は、また別の視点で仕事の面白さを感じている。

私はもともと飽き性で、前例のままに同じことを繰り返すだけの仕事は苦手だし、仕事で不便があればすぐに「変えたい」と思ってしまいます。ふつうはそう思っても時間に追われ、いつの間にか忘れてしまう人が多いのかもしれませんが、私はたまたま技術管理課という部署にいて、仕様書などの社内ルールや決まり事をつくるのが仕事。言ってみれば変えたいと思ったら、変えられる立場にいます。
既成の概念にとらわれることなく、社員だけでなく受注者の方など、誰もが気持ちよく仕事ができるように規定やルールを時代に即してより良いものに変えていくこと。それが自らの使命だし、仕事の面白味もそこにあると感じています。(平野敏彦)

「Hi-TeLus」の進化の先にあるもの

土木工事に本格導入されたとはいえ、「Hi-TeLus」はいまだ進化の途上にある。今後順次機能追加でシステムの拡張が進み、いずれは業務の適用領域もコンサルティング、調査、設計、維持管理などへと広がるだろう。
「Hi-TeLus」が、業務に欠かせない必須ツールになる日はそう遠くない。

平野 敏彦

これからは、すべての社員にHi-TeLusに対するリテラシーが求められます。今のうちからスキルを磨き、Hi-TeLusの持てる機能をフルに活用できるように、私たちも全力でバックアップしていきます。(平野敏彦)

社内だけではない。
「Hi-TeLus」は、受注者と発注者との関係性さえも変えていく可能性を秘めていることを、平野翔也は現場とやりとりする中で強く感じている。

平野 翔也

実は「Hi-TeLus」の最後の2文字「us(私たち)」には、受注者、発注者を問わず、高速道路の仕事にかかわるすべての人が含まれています。
土木建設業界では、いまだに上下関係にとらわれる体質が根強く残っています。でも「Hi-TeLus」ができたことで受発注者間のコミュニケーションが活発になり、互いにパートナーとして協力しあって良いモノをつくろうとする新しい関係性が築かれつつあります。その思いをこれからの仕事につなげ、「Hi-TeLus」をさらに1段も2段も高いレベルへと進化させていきたいと思っています。(平野翔也)

今から10年ほど前まで、土木建設工事の契約書には「甲、乙」の記載があって、まるでそこに上下関係があるかのような印象を与えていました。
その後法律で「甲、乙」の表記は改められたものの、その空気が完全に払拭されたわけではありません。それを改めていくことが、私たちの世代の責務だという思いで、これまで仕事をしてきました。
高速道路は、コンサルティング会社、設計事務所、建設土木会社、メンテナンス会社など多くの受注者の方の力によって支えられ、事業が成り立っています。契約書に「受注者」と記載されていても、阪神高速道路にとっては大切なパートナー。「Hi-TeLus」をツールとして、力をあわせて既成概念を打ち破り、新しい価値を生み出すことで共存共栄の関係をつくりあげていくことが私たちの最終的な目標です。(平野敏彦)

「Hi-TeLus」は、2人の熱い思いを乗せ、高い理想へ向けて船出を始めた。
その進化の先には、私たちが想像もしていなかった建設業の未来の姿が待っているに違いない。

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