新唐櫃・神戸長田という2つのトンネルでの工事により、インバータ制御ジェットファンを導入する上での克服すべき問題点もまた明らかになった。それは、周波数を変換するというインバータの特性が、他の設備に好ましくない影響を与えてしまうことだった。
たとえば大阪では電源に60Hzの電流が流れていますよね?
インバータというのはこれを50Hzにも40Hzにも変換できる装置だと思っていただけば良いのですが、変換する過程で高調波と呼ばれる歪んだ波形の電流が発生し、それが電源側に流れることにより悪影響を及ぼします。
この高調波が原因で他の設備の信号系統に妨害を与えたり、ラジオを近づけるとノイズが出たりするのです。
動力盤とジェットファンとをつなぐケーブルは、トンネル内の監査路と呼ばれる場所に他の設備用のケーブルと共に納められているため、ここに歪んだ波形の電流が流れることによって他のケーブルに影響を与えてしまうのです。
開通前に、様々な機器が問題なく稼働する事を確認するための試験調整を行うのですが、車が通っていないにもかかわらず車両検知器が作動したり、視線誘導灯の誤点灯や情報板の誤表示が起こりました。
対処方法としてはシールド線などを用いて絶縁してやれば良いのですが、口で言うほど簡単ではありません。その度に関係者と一緒に試行錯誤しながら、個々の原因と対処法を考えました。
新唐櫃トンネルでの実験の際には、工場の事前確認で1.5kmほどのケーブルを敷設し、ラジオを持ってノイズの確認に走り回ったこともありました(笑)
そりゃあまあね、嬉しかったです
開通が迫ってくる中、ジェットファンの設置時期はトンネル工事全体の最終段階に近いですから余計に焦るんです。それでも一つ一つ課題を潰していくしかない。そういう場数を踏んでいくうちにだんだん図太くなっていくのですが(自信満々)
えっ!俺なんかいまだに夢の中で、弦巻と久米から仕事の報告を受けてうなされてるけど?(笑)