長い歴史を刻んできた阪神高速では、現在、膨大な既存ストックをどう活かし、いかに長寿命化させるかが最重要課題になりつつある。この時に、川上らが力を入れている保全情報管理システムが効力を発揮するのは言うまでもない。蓄積された情報のアセットマネジメントへの活用が求められているのである。
アセットマネジメントというのはもともと金融業界の言葉で、個人や法人の資産を上手に管理してその価値を最大化するという意味です。高速道路はお客さまの満足度と安全性を確保しながら、長期的な費用を低減することが価値の最大化につながります。つまり、橋梁、トンネル、舗装等を道路資産と捉え、その損傷・劣化等を将来にわたり把握することにより、最も費用対効果の高い維持管理を行うのが「道路のアセットマネジメント」というわけです。
予防保全の概念
そういう意味では、つくる時から長期的な視野をもっていなくてはなりません。
安くつくることができても、維持管理に高い費用がかかるようではダメですし、反対に多少の投資をしても、維持管理に費用がかからない場合はOKとも言えます。また、補修の時期によっても費用は違ってきます。補修の必要のない構造物というものは存在しませんが、適切な時機に適切な補修を行えば、構造物の長寿命化につながります。
そのとおりです。維持管理の基本は「正しく状態を知ること」です。お医者さんと同じで、状態を正しく把握できなければ間違った診断を下すことにもつながり、回復を遅らせ、無駄な費用を発生させてしまいます。その正しい診断のために必要なのは一にも二にも情報。だから、データベースも予防保全の一員なんですね。現場に行くことはないけれど、陰でみんなをしっかりと支えているんです。
私は今の部署で、この保全情報管理システムなども用いたアセットマネジメント(戦略的な中長期の維持修繕計画策定)に携わっています。私はもともと現場の管理部門にいましたので、その頃に現場目線で「こうすればいいのに」などと思っていたことを、企画して実現することのできる部署に来たということは非常にやりがいを感じています。
構造物の損傷は千差万別で、現場ではいろいろなことが起こっているわけですが、やはり維持管理の仕事はその実態をいかに反映するかだと思います。
一方で、目の前の事象だけにとらわれることなく、少し俯瞰で見て、あるいは長期的視野を持つことも大切であり、そこに私たちの仕事が重要な役割を果たすと思っています。
保全情報管理システムはそのような判断をする際の客観的なデータを与え、また、様々な立場の人が使う重要なツールとなっていますので、これからも使いやすく信頼性の高い情報を提供できるよう、頑張っていきたいと思います。
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