大阪都心南部を東西に結ぶ新ルートとして建設が進められている大和川線。完成すれば大阪都心部の慢性的な交通渋滞が緩和されるほか、神戸方面・奈良方面との連携も強化される。
その大和川線と湾岸線を結ぶ三宝ジャンクションは、平成28年度、大和川線とともに完成目途だが、それに先駆け平成25年12月、三宝ジャンクションと一体的に整備する4号湾岸線の三宝出入口が開通した。今回は関西国際空港方面からの出口も加わり、堺臨海部へのアクセスが向上、新たな産業拠点の誕生に向け地元の期待が高まっている。
この三宝ジャンクションの設計に際しては、既供用の湾岸線と建設中の大和川線が連絡、大阪方面や関西空港方面への出入口を設置し複雑かつ面的にまとまった範囲で建設するため、景観への配慮が大きなテーマとなった。プロジェクトチームの一員として景観設計に取り組んだ、建設事業本部建設技術課の茂呂拓実に話を聞いた。
都市計画決定時の環境アセスメントの中で、景観への配慮が盛り込まれていることもありますが、もう一つ、三宝ジャンクションのある堺臨海部の地域性にも大きく関わっています。この場所は製鉄系や物流関係の企業が集まる工業地帯であると同時に、堺の新しい産業拠点としての発展が期待されているエリアで、「Jグリーン堺」(スポーツ施設)、「堺浜シーサイドステージ」「堺浜えんため館」(娯楽施設)、「堺テクノパーク」など、人が集まる施設がどんどん建設されています。そうした場所にふさわしい景観を創出したいというのが、阪神高速の考えでした。
三宝ジャンクション周辺の状況
今回の工事の受注者、そして阪神高速のメンバーで「デザインJCTプロジェクトチーム」を立ち上げ、話し合いを重ねました。そこから導き出されたのは、すでにある施設との連続性を保ちながら、ジャンクション全体を一つの構造物のようにデザインするという考え方でした。すでにある施設というのは、既設の湾岸線などの阪神高速の施設もありますが、先に申し上げたようなスポーツ施設や娯楽施設など周辺の建物も含みます。ジャンクションの建設によって、一つのまとまりのある空間を創出することをめざしました。