道路整備を進める上で、地域との協調は不可欠だ。
道路は一過性の構造物ではなく、街とともに未来を拓く公共インフラである。安全、快適、便利さだけではなく、地域への経済効果はもちろん、何より環境、景観などへの配慮が重要である。
大阪南部地域で、整備が進む「6号大和川線」。4号湾岸線と14号松原線を東西に結ぶ、この高速道路の全長は9.7㎞。その約7割はトンネルであり、自動車排気ガスを換気するため5つの換気所が設置される。換気所には、トンネル内を安全で快適に走行するための換気・防災・照明等に必要な設備が収められている。そのため、建物が大きくなり、都市空間に与える影響も大きい。
この換気所の建設は"建築部門"の仕事である。5つの換気所設置には、目に見えないいくつもの課題が山積していた。そのプロジェクトに挑戦し、立ちはだかる問題を解決した建築社員の中から、建設・更新事業本部 施設課の川原幸人、大阪管理局 保全部 施設保全課の坂上智大、堺建設部 施設課の鈴木英文の三人に計画から設計、施工に至るまでの話を聞いた。
大和川線では、第1トンネルと第2トンネルにそれぞれ1か所、第3トンネルに3か所設置します。
具体的には、第1トンネル(約1.2km)に東行線の換気を行う「南島換気所」、第2トンネル(約0.7km)に東行線・西行線の換気を行う「遠里小野換気所」、そして、第3トンネル(約4.9km)に西行線の換気を行う「浅香山換気所」、西行線・東行線の換気を行う「今池換気所」、東行線の換気を行う「天美換気所」の5換気所です。
換気所は"安全・安心・快適"に運転していただくために、トンネル内を換気し、それに必要な機器及びトンネル内の防災・照明等に必要な機器を格納する建物です。
換気所は、これらの多様な機器を格納するので、建物の規模や高さが周辺の建造物に比較して大きくなりがちです。そのため、地域の方々に理解し、納得していただけるような構造と周辺環境に調和した建物の景観デザインが重要となります。