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紙の文書は、もういらない。

工事現場の働き方改革をもたらす「Hi-TeLus」。誕生までの軌跡をたどる

受発注者間でやり取りされる大量の文書。工事現場の「働き方改革」を阻む大きな障害となっている。そんな旧態依然とした紙の文化から脱却し、業務効率化と生産性向上を実現するために生まれたのが、「阪神高速・工事情報等共有システムHi-TeLus(ハイテラス)」。2019年7月には、土木関係工事を皮切りに本格導入が始まった。決して平坦ではなかった立ち上げまでの道のり。その1年半の軌跡をたどる。
平野 敏彦 技術部技術管理課(兼)働き方改革推進室 課長代理
追い求めた理想
平野 敏彦 技術部技術管理課(兼)働き方改革推進室 課長代理

建設工事の現場では、契約書や設計図面をはじめとして、受発注者間で大量の紙の文書がやりとりされる。高速道路の工事現場も例外ではない。暮らしと経済を支え、時として人の命にもかかわる重要な社会インフラだけに、工事に関する情報を漏らさず記録し、文書として残すことは、ある意味やむを得ないことに違いない。だが建設業に特有の紙の文化が業務効率の改善を妨げ、生産性向上を阻む障害となっていることも、また事実だ。
「Hi-TeLus」は、工事現場で飛び交う膨大な書類を電子化するとともに、受発注者間でやりとりするメールも含め、あらゆるデータをクラウド上で一元的に管理(コラム参照)。
工事にかかわる関係者全員が共通のプラットフォームで情報共有することで、文書作成や事務手続きを簡略し、業務効率化をはかるためのシステムだ。建設業界特有の紙の文化から抜け出し、業務効率化と生産性向上をめざす野心的な試みでもある。

平野 翔也 技術部技術管理課
忘れ得ぬ記憶
平野 翔也 技術部技術管理課

システムの構築にあたって主導的な役割を担ったのは、技術管理課の平野敏彦。最も初期の段階からプロジェクトにかかわり、構想から基本プランの策定、立ち上げまでを一手に手がけた。

プロジェクトを通じて、業界団体で要職を務める方や学識経験者と活発な議論を交わし、システム導入の必要性を説くために会社の役員に膝詰めで直談判するなど、他では得難い経験をいくつも積むことができました。(平野敏彦)

一方「Hi-TeLus」のプロトタイプを現場でテストし、その経験を生かしてシステムの機能拡張にあたるのは、同じ技術管理課の平野翔也だ。

入社から2年余り工事監督部署を経験し、2019年7月に技術管理課に移りました。Hi-TeLusのプロジェクトに関わるようになって前の部署とはまた違う仕事の面白味を発見し、Hi-TeLusの根底に流れる思想や思いに触れることで視野を広げることができたと実感しています。(平野翔也)

高い理想を追い求めて生まれた「Hi-TeLus」。
それは開発プロジェクトにかかわるものにとっても、忘れ得ぬ記憶をいくつも残した。

Hi-TeLusコンセプト
  1. 書類作成や事務手続きの時間を削減。受発注者間の質の高いコミュニケーションを実現することで、技術的な検討や議論ができる環境と時間を創出する
  2. 創出された機会や時間を利活用することで、職場の「働き方改革」を実現。事業に従事する関係者の意欲と能力を存分に発揮させる環境を生み出す
  3. 上記によりQPMIサイクルを生み出し、品質などをより向上させた阪神高速の整備、維持管理を実現する

※QPMI=質(Quality)の高い問題(Question)に対して、個人(Person)が崇高なまでの情熱(Passion)を傾け、信頼できる仲間たち(Member)と共有できる目的(Mission)に変え、解決する。そして諦めずに試行錯誤を続けていけば、革新(Innovation)や発明(Invention)を起こす との意

Hi-TeLusコンセプト

主な機能

  • 工事契約書、設計図、工事の品質などを記録した関係書類と手続きを電子化
  • 電子書類、メールなどあらゆるデータをクラウドで共有
  • 掲示板を使って受発注者間でコミュニケーションの質を向上
  • Web会議、Live立会などのツールで移動時間を削減
Hi-TeLus 主な機能
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